ヒストリック・モデル第5回
1974年型250 MC

1972年。ガナディー・モイセフによってもたらされたモトクロス250㏄クラスの世界タイトルは、KTMにとっても大きなエポックでした。自社設計、自 社生産のエンジンに切り替えて間もない時期でもあり、その性能、技術的優位性をアピール出来たことは勿論、オフロードのKTMという芯のあるキャラクター を手中に収めることができたからです。

大きな角度で寝かされたリアショックユニット。バネ下側にサブタンクなどを装備する。

大きな角度で寝かされたリアショックユニット。バネ下側にサブタンクなどを装備する。

U字型に加工したプレートを溶接しアームを補強する。

U字型に加工したプレートを溶接しアームを補強する。

フロントホイールのリムはコの字断面の頑強な物を使う。

フロントホイールのリムはコの字断面の頑強な物を使う。

赤いタンクに白地に黒のストライプで描いたラインとKTMのメーカーロゴ。現在のものとデザイン的に近いが、三文字がそれぞれ独立している。

赤いタンクに白地に黒のストライプで描いたラインとKTMのメーカーロゴ。現在のものとデザイン的に近いが、三文字がそれぞれ独立している。

空冷2サイクル単気筒エンジンにビング製のキャブレターが組み合わされる。クラッチカバーのメーカーロゴが新鮮。

空冷2サイクル単気筒エンジンにビング製のキャブレターが組み合わされる。クラッチカバーのメーカーロゴが新鮮。

ここに紹介するモデルは、モトクロス用を意味するMC(実にシンプルです)と名付けられた一台で、当時の最先端トレンドを各部に見て取ることができま す。年々ストロークを増していくサスペンション、ライダーのハードなライディングに応えるよう、頑強なシャーシ設計思想を思わせる補強入りリアスイング アーム。フロントに目を移せばアクスルシャフトをオフセットして、アクスルシャフト下まで伸びたトレーリングタイプではないものの当時としては充分なスト ロークを稼いでいることが解ります。リアショックのロアピボットは、リアアクスルシャフト位置に近い部分から、車体中心に可能な限り近いアッパーマウント を結ぶように大きく寝かされた角度で装着されています。
この角度は70年代後半になると、ロアピボットがより車体中心(スイングアームピボット方向に)近づくことで、より進化を遂げて行くもので、どの年式を 輪切りにしても、この時代を振り返ると常に過渡期という印象です。1974年モデルの前後のサスペンションストロークは180mmほど。しかし僅か数年後 にはこのモデルよりも100mm近く前後のホイールトラベルは伸長するのです。GSモデルから電装系パーツを取り外し、より軽量なMCモデル。エンジンの クランクケースカバー類にはマグネシュームを使うなどなみなみならない闘志を漲らせていることが各部から伝わってくるのです。