グッとくるパッケージがそそる、ストリートネイキッドスポーツ。
990SUPERMOTO R試乗インプレッション by Tsutomu Matsui

ダカール用ファクトリーマシン、950ラリーにその源流を持つKTM製水冷V型2気筒エンジン。LC8と呼ばれるこのエンジンの特徴は、軽量コンパ クトでフレームへの搭載位置に自由度があるように、エンジン下部にオイルパンを持たないドライサンプ方式が採用されている。2003年、 950ADVENTUREに搭載されデビューするや、その後のKTMストリートモデルの主力機種となり、SUPER DUKEや、950SUPERMOTOなど搭載ラインナップを広げている。

ステンレス製のサイレンサーを覆うヒートガードはカーボン製。グラブバーはタンデムランでも有効な装備。

ステンレス製のサイレンサーを覆うヒートガードはカーボン製。グラブバーはタンデムランでも有効な装備。

ダーク系の色でまとめた足回り。鍛造のマルケジーニ製ホイールは見るからに軽く、だが強そうだ。モノブロック構造のブレーキキャリパーは制動力、操作性とも秀逸。

ダーク系の色でまとめた足回り。鍛造のマルケジーニ製ホイールは見るからに軽く、だが強そうだ。モノブロック構造のブレーキキャリパーは制動力、操作性とも秀逸。

開けやすいトルク特性がライダーを刺激するエンジン。

開けやすいトルク特性がライダーを刺激するエンジン。

ここに紹介する990SUPERMOTO Rは、2009年にラインナップに加わった一台だ。その特徴はREADY TO RACEを標榜するKTMのモデルにあって、より高性能を印象づける部品チョイスにより仕立てられたRファミリーモデルらしく、全てにおいてモアスポー ティーで纏め上げられている。まず目を引くのがオレンジ色のクロモリ製のスペースフレームだ。そしてオレンジ/黒/白のグラフィカルなデザインのボディー パネルと合わせることで、KTMファクトリー直系のバイクを印象づける。足下を固めるホイールには前後にマルケジーニ製鍛造ホイールを履き、フロントブ レーキキャリパーはブレンボ製モノブロック。前後のWPサスペンションもグレードのより高いものをフィットしている。そのセッティングは減衰圧を高めたス ポーツ指向のものであり、オフ系から派生したスーパーモトモデルとは思えないピッチングの少ない印象なのだ。その他サイレンサーのヒートガードにカーボン 製パーツを採用するなど、性能的にマッシブな演出に抜かりがなく、所有欲をくすぐる意匠が散りばめられているのだ。

硬派な外観からは想像できないリラックスポジション。

KTM990SUPERMOTO Rに跨り、スタンドを払う。オヤ?っと思ったことが一つあった。2009年早春にポルトガル南部で行われた990SUPERMOTO Rのメディア試乗会に参加したとき、テストしたのがあまり距離を走っていない新車に近い試乗車で、サスペンションの硬さをより感じた。その分、シート高も 高く感じたのもも事実。しかし今回テストしたモデルはすでに距離をある程度こなしていたため、明らかにサスペンションはこなれていて、あの時と比較すると 足つき性の印象も好転している。いずれにしても、イニシャルプリロード、ダンピング特性などを調整可能なWPサスペンションを調整すれば、足つき性を含め 自分の好みにより近づけることが出来るはずだ。

比較的タイトなハンドルバー、細身のシート、比較的前で低めな位置にあるステップのため、意外とリラックスしたものだ。軽快な音を奏でてアイドリングす るLC8エンジン。ギアをローにシフトしてクラッチを繋ぐ。アイドリングから多少回転を上げるだけで満タンでも200キロちょいの車体はスルスルと動き出 す。WPサスペンションを採用するKTMらしく、足は動いているのだが、無用なピッチング感がほとんどない走行感で街中レベルの速度域からスムーズさを見 せてくれる。交差点の左折レベルのハンドリングも馴染みやすいタイプだ。3500回転以下を使って走る市街地でも、エンジンがガツガツすることなくスムー ズさを失わない。Rという名前から気難しさや粗々しさに気後れする必要はない。LC8系エンジンに共通する従順さは、この990SUPERMOTO Rでも同様だった。これはブレーキの操作性なども同様で、モノブロックキャリパーを備えるフロントブレーキとリアとも、ライダーの入力次第で減速感をコン トロール出来るタイプで、バイク全体として、高次元で乗りやすさをまとめているのが解る。この辺、オフロードから得た乗りやすく疲れにくく、ハイアベレー ジで走れるパッケージ、という部分に共通するところだなぁ、と再確認。実はKTMの各モデルに共通する乗り味の根源が硬派を気取る 990SUPERMOTO Rにもしっかりと息づいている。
次回はツーリングでの印象をお届けしよう。(続く)

オレンジのスプリングなどRモデル専用のチューニングとなるWP製PDSダンバー。

オレンジのスプリングなどRモデル専用のチューニングとなるWP製PDSダンバー。

15リットルとスリムな燃料タンク、スポイラーの形状もKTMの個性を主張する。Rモデルを印象づけるグラフィックが良く解る。

15リットルとスリムな燃料タンク、スポイラーの形状もKTMの個性を主張する。Rモデルを印象づけるグラフィックが良く解る。

スリムな幅のシート。しかし1時間以上連続で走っても快適だった。

スリムな幅のシート。しかし1時間以上連続で走っても快適だった。

アナログのタコメーター、デジタルの速度計。トリップなどの情報を選択して表示することも可能だ。

アナログのタコメーター、デジタルの速度計。トリップなどの情報を選択して表示することも可能だ。