乗り味に磨きが掛かった2010年版スーパーデューク。
990 SUPER DUKE 試乗インプレッション第1回 by Tsutomu Matsui

2005年、KTMはロードバイクでもただならぬメーカーであることを世界に知らしめた。デビューした990SUPER DUKE は、コンセプトバイクとして登場したRC8(2003年)への期待をさらに高めるような出来映えだったのである。
取材のために990SUPER DUKEに乗り「ストリートファイターだから街中で撮りましょう」そんな編集者の提案で横浜のみなとみらい地区で撮影を済ませ走りに出掛けた。その時、一 番印象的だったのはシングルの640DUKEはあったものの、KTMにとってVツインを搭載した990 SUPER DUKEが事実上、本格的ロードバイクのデビュー作だ、と受け止めていた。その「ファーストシングル」にして相当な完成度を持っていた点だ。フェアリング を持たないスーパースポーツ、あるいはネイキッド界を揺さぶる刺客誕生、なんて記事の見出しを考えながら走ったことを覚えている。
そう印象づけた源泉、それはスーパーバイク系モデルと同様の車体姿勢とそれから繰り出されるハンドリングの一体感にあった。後退したステップとバーハン ドルが造るいわゆるストリートファイター系のポジションでありながら、シート、ステップ、グリップの相関関係が絶妙。明確な前傾姿勢にも関わらず、ハンド ルバーで上体を支えるような不自然さがない。これにより、バイクを傾けたときに自然に前輪に付くセルフステアを手で押し返すような不自然さがなく低速域か らハンドリングがナチュラル。前輪を曲がりたいラインに乗せやすい。コントロール系のタッチと操作感も印象的だった。ラジアルポンプ式のクラッチ、フロン トブレーキマスターの操作感、ラジアルマウントのブレーキキャリパーの組み合わせは、当時の最先端でもあった。特にブレーキのタッチ、制動感とフロント フォークの減衰圧の設定は見事。最初は固いと思ったが、実は初期から作動性が良く、きっちりタイヤを路面に押しつけてくれる。唯一、開けろ、開けろ、と街 中なのに誘惑しまくるエンジンのキャラクターにはまいったが……。
すでに950ADVENTUREでLC8のパワフルさと乗りやすさを体感していたが、ボア×ストロークを拡大し、負圧式のキャブレターから燃料供給をイ ンジェクションにして、20ps以上もパワフルな990SUPER DUKEのLC8エンジン。それでいて120psという出力を発揮しながら、2200回転ぐらいからスムーズに回り出す点で、Vツインのライバル達よりも 優れていたのである。

進化をとめないKTMネイキッドの走り。

その後、990SUPER DUKEは2007年、そして今回試乗した2010年モデルへとアップデイトされてきた。
跨ってみると、ステップ、シート、ハンドルグリップの位置関係の絶妙さはそのまま。適度に後退したステップはラバーが巻かれたもので、シフトペダルなど もリンケージを介して操作する点などは踏襲している。機能的な部品の美しさを外観意匠に積極的に使うため、不要な部分を取り除くとネイキッドになる、とい うのは意匠デザインなどを受け持つ、工業デザインの会社、キスカのデザイナーが語るKTMデザイン哲学だそうだが、なるほど、言い得て妙だ。WPサスペン ション、マルケジーニのホイール、そして独特なスタイルの燃料タンクと、スパッと切りつめたようなリアエンド。スラッシュカットされた二本だしのサイレン サーなど、確かに見所は多い。

この価格帯のロードバイクとして充分な話題性がパッケージされていると思う。次回はワインディングで楽しんだ走りの部分を詳しく紹介したい。(続く)

990SUPER DUKEの個性的なデザイン。その魅力は力強さと細かなエッジと面の組み合わせによるもの。

990SUPER DUKEの個性的なデザイン。その魅力は力強さと細かなエッジと面の組み合わせによるもの。

ラジアルポンプマスターシリンダーとラジアルマウントキャリパー。軽いタッチで剛性感ある制動力を生み出す。

ラジアルポンプマスターシリンダーとラジアルマウントキャリパー。軽いタッチで剛性感ある制動力を生み出す。

φ48mmのインナーチューブを持つWPサスペンション製倒立フォーク。そのストロークは135mm。

φ48mmのインナーチューブを持つWPサスペンション製倒立フォーク。そのストロークは135mm。

デザイン優先に見えてライディング中のフィット感がとても良いタンク。その下に除く水冷DOHC4バルブVツインのLC8エンジン。

デザイン優先に見えてライディング中のフィット感がとても良いタンク。その下に除く水冷DOHC4バルブVツインのLC8エンジン。

ピギーバックタイプのリザーブタンク付きリアサスペンションユニット。ストトークは160mmと長めにとられている。

ピギーバックタイプのリザーブタンク付きリアサスペンションユニット。ストトークは160mmと長めにとられている。

個性的な意匠はサイレンサーにも貫かれている。左右2本だしのサイレンサーエンドからテールランプへと繋がるラインも見所。

個性的な意匠はサイレンサーにも貫かれている。左右2本だしのサイレンサーエンドからテールランプへと繋がるラインも見所。

ライダーの動きやすさを確保しつつショート化することで全体のスタイルを引き締めるシート。

ライダーの動きやすさを確保しつつショート化することで全体のスタイルを引き締めるシート。

燃料タンク両サイドのスポイラーにかかれた筆記体調のSUPERとデザインされたDUKEの文字を組み合わせる。

燃料タンク両サイドのスポイラーにかかれた筆記体調のSUPERとデザインされたDUKEの文字を組み合わせる。