DAKAR 2012レポート──Vol. 5
ダカール・レポート総集編。データで見るデプレとコマの戦い。

2012年のニューイヤーデイにアルゼンチンのマル・デル・プラタをスタートしたダカールラリー2012。1月15日、ペルーのリマまでの14ステージ、合計8391キロを走破。KTMファクトリーライダー、シリル・デプレが優勝し、同じくファクトリーライダーのマルク・コマが2位というKTMのワン・ツーフィニッシュを飾ることで幕を下ろしました。

KTMのモータースポーツ部門で活躍するハインツ・キニガドナー(KTMファクトリーチームに在籍したライダーでもあり、250㏄クラスで2度のタイトルをとったレジェンド・ライダー。また、ダカールラリーへの参加経験も豊富)は今年のラリーを振り返りこう語っています。

ダカールラリー史上、いやこれまでのラリーの中でももっとも激しいバトルを繰り広げたコマ(写真左)とデプレ。

ダカールラリー史上、いやこれまでのラリーの中でももっとも激しいバトルを繰り広げたコマ(写真左)とデプレ。

「シリル・デプレとマルク・コマ。この2人が演じた僅差のバトルは、ラリー史上もっとも興味深いものの一つでした。2人は実質上ホイールtoホイールのバトルを全てのステージで繰り広げ、その体力、知力を総動員した2人の努力は、ダカール史に刻まれるのに相応しいものです。もちろん、ステージ13でコマに起こったギアボックス・トラブルによりエンジン交換を余儀なくされ、45分のペナルティーが加算されたことは残念です。それが無ければゴールまでわずかな差しか無かったのですから」

2人による戦いはそれほど熾烈にして僅差だったのです。
そこでいくつかのデータから、2人を俯瞰してみることにしました。

■95.443km/h
優勝したシリル・デプレの全スペシャルステージの平均速度。

14の競技区間が用意された2012年のダカールラリー。途中ステージ6が雪(!)によるコンディション悪化でキャンセルされるハプニングも。ステージ6を除く競技区間の合計距離4125キロの平均速度からも、ファクトリーライダーのスピードが伺えます。

ダカールラリーにおいて4回目の優勝を決めたシリル・デプレ。

ダカールラリーにおいて4回目の優勝を決めたシリル・デプレ。

■13分の9
マルク・コマとシリル・デプレがスペシャルステージでトップタイムを稼ぎ出した数。

今大会で行われた13のスペシャルステージ中、マルク・コマが5回、シリル・デプレ4回のステージウインを記録。異次元バトル、昨年以上のバトルが展開されたのです。

■13分の1

KTMファクトリーチームのマルク・コマ、シリル・デプレ以外のライダーが、2012年のダカールで2輪総合リザルトの1位になった回数。ちなみにその1人は57キロで行われたステージ1を制したチャレコ・ロペス。

■13分の6
マルク・コマ、シリル・デプレがステージ1位、2位を占めた回数。

13ステージ中、2人は6つのステージで1・2フィニッシュを記録。その全てはステージ9以前に記録されました。前日のスペシャルステージの成績で翌日のスタート順が決まるダカールでは、フィニッシュライン手前で少しペースを緩め、翌日の1番手スタートを避ける戦略も。これは轍を追いながらナビゲーションを楽にすることで、ペースを上げることも可能だからです。1台ずつ時間差スタートをするラリーでは、先にスタートしたライダーに追いつき、その背後でフィニッシュすれば、スタート分の時間差を詰めたことになり、スペシャルステージの順位はライバルの背後ながら、スタート順の違いにより総合では時間差を詰め、逆転することが可能。後半、ナビゲーションが難しいステージでは2人のライダーもこうした神経戦を仕掛けていました。

■150秒未満
ステージ8からステージ12まで、5つの競技ステージ(合計2198キロ)を競い、2人の総合結果に生まれた時間差。

それは最大で2分28秒。最短はステージ10終了時点での21秒。ステージ13でコマが不慮のギアボックス・トラブルに見舞われるまで大自然を舞台にぎりぎりの戦いが繰り広げられていました。キニガドナーが言う通りまさにホイールtoホイール。

昨年のウイナーであるコマ。ギアボックス・トラブルが無ければ……。

昨年のウイナーであるコマ。ギアボックス・トラブルが無ければ……。

■10対12
マルク・コマ、シリル・デプレ。2人のライバルが参戦したダカールラリーの回数。

マルク・コマは2002年から10 回、シリル・デプレは2000年から12回ダカールラリーにエントリー。スタート直前に中止になった2008年もエントリーしているため、本来ならもう一回加わることになります。

■70%対91%
それぞれのダカール完走率。

マルク・コマは初出場から3回(2002年、2004年、2007年)リタイアを経験。対するシリル・デプレはリタイア1回(2002年)のみ。安定した完走率を誇っています。
また、マルク・コマは7回の完走したうち、1位3回、2位2回、15位、18位がそれぞれ1回。シリル・デプレは1位4回、2位3回、3位1回、4位1回、12位1回、16位1回。いずれにしても共にその完走率、それに対する勝率はまさに伝説的。

■マルク・コマ

スペインの国内選手権で5位に入る腕を持つ父、リカルド・コマのもとに育つ。父を始めバイク乗りの叔父の影響もあり、子供の頃から近所の友達とバイクレースを楽しむ少年でした。この頃から将来はプロのライダーになる夢を持っていた、といいます。後にはスペインのナショナル・エンデューロチームに入る腕前に成長。ダカール初参加はスズキのバイクでした。

■シリル・デプレ

10年間、トライアル選手権に参戦した経験を持ち、このときの経験は彼のその後のキャリアを大きく伸ばす原動力に。友人とともにエンデューロを始め、タイムを競うことに目覚めました。そしてダカール参加への思いを募らせ、夢を実現。
とある会合でのこと。ダカールで優勝経験も持つ名ナビゲーター、アンリ・マーニュと出会い、その後のダカールへの方向性が加速。デプレの地元、アンドラでマーニュのビジネスを手伝うことにもなりました。ダカール初参加はKTM 640 ADVENTUREのカウルを取り着けたホンダでした。

皆様、応援ありがとうございました。

皆様、応援ありがとうございました。