690 DUKE Rの魅力を語る。
ワインディングを楽しむにはバッチリ二重丸!
── BIKERS STATION編集長 佐藤康郎さん

ひとつの話題を深く掘り下げるだけでなく、気に入らなければオートバイの改善までしてしまう2輪専門誌『BIKERS STATION』。その面白さと深さでファンの方も多いと思います。また、2011年7月号、8月号、10月号に掲載された「KTMの世界観」(連載中)は必読ですよ! 今回は、そんなBIKERS STATION編集長・佐藤康郎さんに690 DUKE Rについてお聞きしました。以下、じっくりと「こだわりの」コメントをお楽しみください。

「690シリーズのロードモデルには690 SMCと690 DUKE Rの2タイプがあるけれど、690 SMCはバリバリのスーパーモタードです。本気で速く走るためのモデルで、スパルタン。それでいて純粋なレーサーではなく公道も走れる。当然、良く曲がる、良く走る。しかも、モタードコースのような小さいサーキットばかりじゃなくて、普通のサーキットを飛ばしても楽しめる。

ただし、身長170cmの私が街乗りするにはちょっとシートが高い。そもそもKTMはオフロードにおけるコンペティションモデルとしての運動性を追求してきたメーカーだから、シートが高めなのは納得して乗るべきでしょう。とはいえ125 DUKEを見れば分かるように、足つき性を良くしても走りの質が低下しないモデルのシートはごく普通の高さです。まぁ、足が長い人には関係のない話と言ってしまえばそれまでですが(笑)。

一方、690 DUKE RはサーキットでSMCと比較すると、さすがにソフトな印象になるけれど、それでも公道で普通のオートバイと比べると充分以上にシャープな走りを楽しめる。

単気筒で排気量が大きいエンジンだと、ヤマハのSR400みたいなものをイメージする人もいるがこれは大きく違います。もちろん、SRだってその気になってワインディングロードを飛ばせば私だって楽しい。でも本質的にSRはそれを目的に造られたバイクではない。

東京の近く箱根や伊豆の峠を快走したいというなら、690 DUKE Rはとてもいい。単気筒エンジンを搭載したバイクで気持ちよく飛ばしたい人にはバッチリ二重丸。ネイキッドのレーサーレプリカみたいなものだね。

KTMが車名の後ろにRを冠したモデルには、エンジン、シャーシにやる気パーツが装着されている。例えばエンジンパワーだけでいえば、690 DUKE Rが70馬力、690 SMCが63馬力だから、DUKE Rのほうが力がある。ただ、そのチューニングが異なるし、シートの高さ、重心位置、サスペンションの設定から燃料タンクの位置まで違うから、乗り味は別物。それだけ目的別に設計されている、ということです。

これがKTMの面白さでもあるんだけど、普通のメーカーなら690 SMCと690 DUKE Rの2台で、フレーム、エンジンまで別物を造ったりしない。あくまで「元」があって派生モデルがあるわけです。だけどKTMは2台を分けている。というか全く別物。それがKTMにとって“普通”なんです。

マシン造りに目をやっても、ステアリングヘッドベアリングの留め方だって、世界中のライダーやディーラーでのメンテナンスをすることを考えれば別の手段もあったでしょう。このあたりは、世界中の地域で初心者から上級者までにオートバイを売っているホンダを筆頭とする日本メーカーは多くを学習していると思います。

しかし、ホンダ的なオールマイティーさはないけれど、手段を選ばず純粋に自分たちが考えるベストなオートバイ造りに邁進する。それがKTMの醍醐味です。派生モデルのように見えるモデルが全く別物だったりするのもそのせいでしょう。それを理解すると、このメーカーが好きになります。

94年にKTMがDUKEを出して以来、オフロードバイクの老舗メーカーは17年の歳月を掛けてしっかりとオンロードバイクを熟成してきました。まだどうしてもオフロードやモタードのイメージが強いのですが、そんなハードなモデル(その分野でみればとても扱いやすいのですが)ばかりではなく、いまでは、一般の道を普通の人が楽しめるようになっています。

BIKERS STATIONではもっと多くの人にKTMが造るオートバイの真価を伝えていくべきだと考えています。日本の中と世界、特に欧州でのKTMに対する認知度と人気にある大きなギャップをなんとかツメていきたい。

そんな意味でBIKERS STATIONで連載している『KTMの世界観』は、KTMの魅力とバイク造りを解明する企画としています。すでに2011年の7月号、8月号、10月号で紹介しているので、是非ご一読を。この連載は12月28日発売の2月号から再開します。KTMの本社に行って取材しましたから、さらに深い部分をお伝えできるはずです。こちらもどうぞよろしく!」(談)