戸井十月のバハ1000チャレンジ 第5回
午後12時10分、ゼッケン212Xがフィニッシュ!

スタートして約4時間後の午前11時前でした。戸井さんがアクシデントを起こしたガレ場の峠道にさしかかったとき、212Xを走らせていた松井 勉は自らのミスで転倒。左肩を痛めてしまいます。
ロングディスタンスレースでは急ぎすぎない、ゆるめすぎない、という事を肝に銘じていたのに、ちょっとしたミスが歯車を狂わせます。幸い、バイクにダメージは無く、ペースを落としつつ走行を続けました。

午後2時過ぎ、予定より少し遅れて交代ポイントに212Xが現れました。
すでに300キロ以上を走行しているため、エアクリーナーほかルーティンのメンテナンスを施し、3人目のライダー、後田繁春に交代。
後田はこの後、ケガでペースを上げられなくなった松井の分までカバーする大激走をみせました。結局、この交代ポイントから一人で500キロを連続走行。バジェ・デ・トリニダットという町の手前までロングランをこなしたのでした。

(写真左)松井到着。肩を痛めてスタンディングできず、長く続くウオッシュボードをひたすら座って越えてきた……。(写真右)再びウォッシュボードの海へ、後田と350XCF-Wが走り出す。「普段乗っている250EXC-Rからだいぶ進化しましたいね」とKTMオーナーらしい分析も。

(写真左)松井到着。肩を痛めてスタンディングできず、長く続くウォッシュボードをひたすら座って越えてきた……。(写真右)再びウォッシュボードの海へ、後田と350 XCF-Wが走り出す。「普段乗っている250 EXC-Rからだいぶ進化しましたね」とKTMオーナーらしい分析も。

翌午前2時30分。松井と交代してから12時間が経過した時、後田は212Xを無事バジェ・デ・トリニダットまで走らせてきました。
「替わるなんて言わなければ良かった(笑)。長いウォッシュボードの連続でしたね。」
体の奥からわき上がる安堵感。バハ1000をチームで戦う時、次につなげること、あきらめないこと、これは一つの大きなタスクです。なによりサンフェリーペから交代地点までの後半部分に掛けて、本来松井が担当するルートを後田はプレランで走っていません。

(写真左)途中、サンフェリーペでサポートするためにピットを設営。暗くなる前に準備を進める。目印はボールの先に点滅する赤いランプ。(写真右)後田から交代し、フィニッシュまでをめざしまだ闇の荒野に走り出す宮崎。

(写真左)途中、サンフェリーペでサポートするためにピットを設営。暗くなる前に準備を進める。目印はボールの先に点滅する赤いランプ。(写真右)後田から交代し、フィニッシュまでをめざしまだ闇の荒野に走り出す宮崎。

夜間に未知の荒野を走ることになった後田は、ハンドルバーに取りつけた小さなGPSのモニター画面に表示されるウエイポイントを確認しながら進んできました。
昼間は半袖で充分な気温のバハも、夜には気温も一気に下がります。たき火で凍えた体を溶かすように走り切った安堵と充実感を味わいます。

(写真左)フィニッシュまであと350キロ。大事をとって前後のホイールごと新品のタイヤに交換。手塚も不眠不休のサポートを続ける。(写真右)長いスティントを走り終え、戸井さんに報告をする後田。砂漠の夜は、急激に冷え込む。暖かいですね、を連発。

(写真左)フィニッシュまであと350キロ。大事をとって前後のホイールごと新品のタイヤに交換。手塚も不眠不休のサポートを続ける。(写真右)長いスティントを走り終え、戸井さんに報告をする後田。砂漠の夜は、急激に冷え込む。暖かいですね、を連発。

午前9時40分。バジェ・デ・トリニダットで前後タイヤを新品に入れ替えた212Xはフィニッシュまでの350キロを慎重に走りはじめました。ゴールのエンセナダまで宮崎が担当します。バハカリフォルニア半島の西側、太平洋に面したエリアにコースは進み、走っていても潮の香りがしてきます。そんなのどかな雰囲気とは別に、コースはレース前に降った雨で所々に水たまりがあり、滑りやすい状況に。それでも宮崎は慎重かつ大胆なライディングでサポートが待ち構えているサント・トマスへとたどり着きます。フィニッシュまであと100キロ。

(写真左)サント・トマスは小さな集落。国道沿いに出てきた所がサービスポイント。ここでもバイクにトラブルはナシ。350XCF-Wの耐久性は長いバハ1000でも発揮された。(写真右)フィニッシュライン! 戻ってきた宮崎に戸井さんが歓喜のチェッカーを振る。

(写真左)サント・トマスは小さな集落。国道沿いに出てきた所がサービスポイント。ここでもバイクにトラブルはナシ。350 XCF-Wの耐久性は長いバハ1000でも発揮された。(写真右)フィニッシュライン! 戻ってきた宮崎に戸井さんが歓喜のチェッカーを振る。

350 XCF-Wにはトラブルらしいトラブルもなく、問題はありません。あと一息。すでに1000キロを走ってきた自信と勢いがチーム全員の背中を押します。

お疲れ様! 一緒に戦った350XCF-Wも誇らしげだ。来年もう一度チャレンジするのか?

お疲れ様! 一緒に戦った350 XCF-Wも誇らしげだ。来年もう一度チャレンジするのか?

午後12時10分。チームのメンバーが待ち構えるフィニッシュラインに212Xのゼッケンをつけた350 XCF-Wが戻ってきました。
29時間30秒。途中、松井の転倒で宮崎と後田ははからずもロングランをすることになったものの、フィニッシュまでしっかりとバイクを運び、見事にゴール。チームにとって初めてのKTMでのバハチャレンジは、こうして終わったのです。

しかし、今回レースを走れなかった戸井さんにとってバハへの挑戦はまだ終わっていません。本人は「来年こそ」と息巻いています。特別にフィニッシュラインで戻ってきたバイクにチェッカーラッグを振らせてもらった戸井さん。その思いははやくも次のチャレンジに飛んでいるのでした。バハ1000参加にあたり、アドバイス、ご協力を頂いた全ての方にチームは感謝の意を表します。ありがとうございました。(了)