みなさまの応援ありがとうございました!
──全日本ロードレース選手権、2011年度全戦が終了しました。 第1回──

RC8 Rの挑戦は5月の鈴鹿2&4レースから始まった。

RC8 Rの挑戦は5月の鈴鹿2&4レースから始まった。

RC8 Rによる、ロードレースの国内最高峰、全日本選手権への挑戦が、終了しました。実はオレブロでも、ツイッターでも、最も反響を多くいただいたのがこの企画でした。皆様の応援で、ここまでやることができました。本当にありがとうございました。

KTMのブランドはReady To Raceで知られているように、レースとは切っても切れないところにあります。といっても圧倒的なレースでの活躍はオフロードが中心。ストリートバイクはそのオフロードでの成功とこれまで開発してきた実力を背景に、さらにKTMらしく楽しくかっこよく、加えてレースにチャレンジできる実力を備えながらレーサーではない魅力を備えたモデルとして、導入してきました。

中でも、RC8/RC8 Rは、スーパーバイククラスのカテゴリーにマッチするオートバイですから、レースという言葉が容易に想像される商品です。一方で、その特徴的な見た目よりもはるかにライダーにフレンドリーで乗りやすく、楽しい。むしろ、レースに出ることを狙いにして先鋭化していく方向を選ぶのではなく、レースのようなシチュエーションでもKTMらしく楽しく走ることができ、そこにかけなくてはならない費用は最小限で済ませることが出来るようなバイクということが出来るのが、RC8/Rなのです。だから、いつどんなシチュエーションで乗っても楽しく乗りやすいのに、ほとんどそのままでレースを走るようなポテンシャルがあるマシン。マルケジーニのホイールやWPのサスペンションなど、ストリートを気持ちよく走らせながら、レースまでをカバーする高い能力を誇るハイグレードなパーツを、KTMの方法論で纏め上げたバイクといっていいでしょう。

基本的にはノーマルのRC8 Rがベース。

基本的にはノーマルのRC8 Rがベース。

そんなRC8/Rを気に入って購入していただいた方に、ぜひそうしたポテンシャルが本当にあることを知っていただきたい、みなさまご自身のバイクが能力的にも最高の一台であることを知っていただき誇りに思っていただけないだろうか、と我々は考えました。同時に、まだRC8/Rの楽しさ、すばらしさをご存じない方に、幅広い楽しみ方があることを、あまりまだ知られていない能力があることをぜひお見せしたい、そんな気持ちもありました。これが、私たちがレースにチャレンジしたきっかけでもありました。

ですから、私たちのレース車両は基本的にノーマルのオートバイがベース。それも、広報車として距離を刻んできたバイクを、レギュレーションに合わせて必要な変更を加えただけ、からスタートすることにしました。すなわち、2009年モデルのRC8 Rに、パワーパーツ(純正アクセサリー部品)のFRPフェアリングやレース用のマフラー、ステップなどを装着しただけの仕様です。これならば、ごらんいただいているオーナーのみなさまにも、現実的な仕様ですし、誰もが同じオートバイを作ることができてしまうからでした。

ところで、日本のスーパーバイクレース、JSBクラスは、かなり改造範囲の広いレースです。たとえば、タイヤ。トップクラスの数台は、専用に開発されたスペシャルタイヤをタイヤメーカーのスポンサードを受けて使用しています。市販品とは全く異なるコンパウンドで、もちろんこうしたトップライダーしか手に入れることはできません。ホイールサイズは、16.5インチ。これも、公道を走るバイクには存在しないサイズです。それを取り付けるスイングアームはレース用の専用品にしているケースがほとんどですし、フロントフォークやブレーキにノーマル部品を使用しているチームは皆無。トップ10に入るようなライダーのほとんどは、オートバイが買えそうな値段のサスペンションを使っています。もちろん、それがレースであり、最高峰といわれる所以でもありますが、ちょっと『市販車ベース』のレースという概念からはかけ離れていますよね。

ライダーには鈴木大五郎選手を起用。

ライダーには鈴木大五郎選手を起用。

KTMがワールドスーパーバイク、世界選手権に出場せずに、あえてドイツ選手権に出続けているのはここに理由があります。ドイツ選手権は、極端に改造制限が厳しく、ほとんどノーマルの車両でしかレースが出来ないようになっています。レーシングマシンはお金をかけようと思えばいくらでもかけられますし、かければかけるほど本来の車両が持っているポテンシャルがどうであれ、それなりにレーシングマシンとしてまとめていくことが出来てしまいます。でもそれでは、お客様が実際に乗っている車両とはかけ離れたものになってしまいますから、僕らKTMとしては意味がないと考え、改造範囲の広いレースには敢えて出ていないのです。ドイツ選手権ならば、売っているすっぴんの車両の能力がそのまま示せますけれどもね。

さて、こうしたわけで、今年、RC8 Rが全日本選手権を走ることになりました。お客様に見ていただくことが目的で、ポイント稼ぎ、タイム稼ぎが目的ではありませんから、RC8 Rの美しさ、かっこよさ、唯一無二のサウンドなどを味わっていただけるように、観客数の多いレース3戦に限っての参戦です。地震の影響もあって予定していた筑波サーキットでの開幕戦はキャンセルになりましたが、フォーミュラ・ニッポンとの併催になって観客数も多かった5月の鈴鹿2&4レースがデビューになりました。デビューレースの報告は、オレブロでもすでにさせていただきました。

九州のレースファンに、
RC8 Rの熱い走りを見せたい。

オートポリスではフェアリングを模様替え。2011年モデルの白/オレンジのカラーリングで走った。

オートポリスではフェアリングを模様替え。2011年モデルの白/オレンジのカラーリングで走った。

続いて、我々にとっての2戦目は、9月のオートポリス戦。全日本選手権ロードレースで最も多くの観客を集めることで知られるオートポリスは、九州の熱いKTMライダーやレースファンに、RC8 Rの走りを刻み込むチャンスと考えたのです。

鈴鹿では、限定車としてデビューしたレッドブルカラーで走らせたRC8 Rでしたが、オートポリスではフェアリングを衣替え。2011年モデルで斬新にカラーチェンジした白/オレンジのボディカラーで走らせました。マシンも、鈴鹿の反省からちょっと進化。鈴鹿のレース後、燃料周りの見直し、サスペンションのセッティングの変更などを実施。エンジンはだいぶくたびれていたので、これを機会にきちんとリフレッシュしたエンジンを投入しました。鈴鹿では、トップスピードも大きな差がありましたが、オートポリスも直線が長いコースですから、こうした細かな変更を進めることで、すこしでもライダーの負担を減らしていきたいのが願いでした。

しかし、オートポリスは事前テストまで予定していたのに大雨で事実上ほとんど走れず、コースにあったセッティングに詰めることは出来ませんでした。そんな中でも、晴れた予選では、ノックアウト方式の中まずは25台中20番手を記録。Q1からQ2に駒を進め、Q2では18番手、タイムも目標を上回る数字となり、改めてライダー・鈴木大五郎選手のすごさと、ほとんどノーマルのまま走るRC8 Rのポテンシャルの高さに驚かされたのでした。

RC8 Rの走りを観客に強く印象づけた。

RC8 Rの走りを観客に強く印象づけた。

決勝は、18周。ストレートが遅いためタイムでは上回っていてもレースだと前に出るのがかなり厳しいのが現状という中、ライダーが頑張ります。オートポリスは路面が荒れ気味で、サスペンションにやさしくないコース。
RC8 Rのノーマルの足回りは、市販車としては最高レベルですが、レーシングスピードでとことん攻め込んだときにはやはり弱さがでてしまいます。ちょっと抜いたくらいで走るとびっくりするくらいいいのですが……。でもそこを、大五郎選手が技術でカバー。スタートポジションと同じ、18位でチェッカーを受け、ついに初のポイントをもたらすことが出来ました。

スズカを走ったレッドブルカラーのRC8 Rも展示され注目を集めた。

スズカを走ったレッドブルカラーのRC8 Rも展示され注目を集めた。

この全日本選手権での獲得ポイントというのが、実は最終戦鈴鹿ラウンドへの出場のためのパスポート。ポイントを取れない、つまり全日本選手権で上位20台に入ることができないマシン/ライダーは、最終戦であるMFJ Grand Prixに出場できないのです。大五郎選手の頑張りでポイントを獲得することが出来たKTM RacingとRC8 Rは、これで目標の一つでもあった最終戦に駒を進めることが出来ました。
オートポリスでは、KTMの全ストリートモデルを大五郎選手が紹介するインプレ付きのポスターを配布、ピットウォークでは大五郎選手自らサインをこのポスターにしながら配布するなど、大人気でした。鈴鹿で走らせ、このポスターのデザインになったレッドブル号も展示。一緒に写真を撮影されていたお客様もたくさんいらっしゃって、にぎわった日になりました。

■写真──S.YOSHIDA