690 SMCの魅力を語る。
乗り手を怖がらせない“丁度いい高性能”なんです。
──ビッグマシン編集部・吉岡直矢さん

ビッグマシン編集部(内外出版)で12年間にわたり雑誌作りにたずさわる吉岡直矢さん。初めてのKTMは660 SMC。そして2008年に登場した690 SMCに乗り換えました。690 SMCオーナーとして立場から、その魅力についても教えていただきました。

「ビッグマシンという雑誌の編集記者である私ですが、実は個人的には大きなリッターバイクよりもオフロードバイクやミドルクラスのバイクが好きです。そんな私がある頃、スーパーモトジャンルのバイクに興味をひかれたことがあります。かといってレーサーで、街乗りができないのはつらいし、当時、国産モデルにもあったスーパーモト系のバイクに踏み切るには何かが足りない。

そんな時KTM 660 SMCの存在を知り、もう心の中はそのバイクのことが理屈抜きでどんどん膨らみ始めたんです(笑)。
そしてオーナーとなってみて、こんなのがあるんだ! と思いました。本物のレーサーのような造りなのに普段からストリートでも使える面白さに目から鱗が落ちた思いでした。

その660 SMC も2008年に690 SMCが日本に導入されるのとほぼ同時に乗り換えました。エンジンの振動は気にならないレベルになり、軽さはそのまま、速さもある。軽量化のために660 SMCに装備されていなかったセルモーターが着いている、というのが個人的に嬉しかった。

※写真はイメージです。

※写真はイメージです。

690 SMCは高性能ですが、乗り手をビビらせない高性能だと思います。リッターバイクのように扱いきれないという感じがなく丁度いい。自分ではそんな風に感じています。街乗りでもエンジンは高性能だけど好きにアクセルを開けられる。
ハイグリップタイヤを装着して走る事もありますが、走り始めでタイヤがまだ冷えている時に交差点を曲がり、うっかりズルっと滑らせてしまっても恐くない。高出力だけど出力特性に柔らかさを感じます。

乗り味はライダーがある程度主体的にケアしてあげると、走りの楽しさが俄然増します。意識的に操作していることを楽しむバイクですね。

日帰りで300キロ程度のツーリングに出たことがありますが、高速道路の巡航燃費の良さに驚きました。ちょっと急ぎ目ながら27km/lも走りました。少しエコランしたらもっと伸びるはずですから……。シートはちょっと硬めではありますが(笑)。

ツーリング先での690 SMCは、街乗り同様、エンジンが柔らかい。高性能を楽しみながらもライダーを疲れさせない。この辺がダカールラリー直系のエンジンなんだなぁ、と思わせられるところです。

例えば、上手い人が速い過激なエンジンに乗ったとします。集中力を保っている時には速く走れますが、疲れてしまうと思います。690 SMCはそういうタイプではなく、僕にでも開けられるエンジンです。現行モデルではエンジンもさらにスムーズさを増し、低回転から滑らかになっていますし。

WPサスペンションの印象はその動きに高級感を感じます。ダンピング調整にも幅があり、シートの下に貼られている推奨セッティングを試して、ダンピングアジャスターを調整しても、それがはっきりと解る。
走っていても怖い、と思う場面がない。車体がしっかりフォローしてくれる感じです。

現行の690 SMCではチューブレスホイールを採用していますが、足回りが軽く路面に吸い付く印象です。ハンドリングはより軽快になっています。
690 SMCに乗るといつも思いますが「大丈夫だから開けてごらん、あとは任せておけ」と年の離れた兄貴に守られながら走るような印象ですね。

ライディングポジションもどこかが引っかかるとか、当たるということがありません。しっかり走り込んで造られているなぁ、と感じます。だから690 SMCは、僕にとって情緒のある道具、愛着があり手に馴染む道具なのです」