690DUKE Rの魅力を語る。
まさに“スポーツシングル”と呼びたくなるマシンです。
──八重洲出版 別冊モーターサイクリスト編集部・縞田行雄さん

「小誌・別冊モーターサイクリストの企画で『ミドルクラス選手権』という連載をしたことがあります。これはミドルクラスの排気量のバイクをジャンルごとに集め、各カテゴリーのライバル機種の中から編集部でベストワンを選び、その勝者を集めて決勝戦を行う、というものでした。690 DUKE Rが登場したのは、モタードやデュアルパーパスモデルを集めた回です。

その中で690 DUKE Rは1台だけ飛び抜けた印象でしたね。サスペンションの動き方やブレーキのタッチなどを含め、まるで皮膚感覚の操縦性とでも言えばいいでしょうか。操作に対する応答性の良さは走る場面を問わない感動的なものでした。690 DUKE Rはロードスポーツです。でもKTMが得意とするオフ系モデルが持つ自在感をその操縦性の中に兼ね備えていて、それがいい意味での万能性の高さに現れていますね。

縞田さんは、編集記者歴12年。「実はオフロードが大好き」なのだそうです。写真提供──別冊モーターサイクリスト

縞田さんは、編集記者歴12年。「実はオフロードが大好き」なのだそうです。(写真提供:別冊モーターサイクリスト)

排気量の大きな単気筒エンジンをビッグシングルと呼びますが、ビッグシングルと言えばドコドコドコっと走り、振動もガンガン、とイメージする方も多いと思います。
でもこの690 DUKE Rに乗ると、ビッグシングルにもいろいろ違う世界があるんだ、ということに気付かせてくれます。搭載されるLC4エンジンはユニットも小さく、そのため運動性は飛び抜けています。その性格はオフロードレース用の超ショートストロークのシングルや、ビンテージバイクのロングストローク型のエンジンとも異なります。振動はゼロではありませんが、高速巡航も楽にこなせるくらいスムーズです。それでいてライダーの意志に忠実に反応してくれるあたりは、まさにスポーツシングルと呼びたくなるエンジンです。

エンジンとシャーシのマッチングの良さは素晴らしく、街中や雨のなかですら走る気分が高まります。個人的にそれを一番堪能できるのはタイトなワインディングだと思います。もし、手に入れたとしたら、舗装林道やフラットダートぐらいを入れたワインディングを一日中走りたい、そんなツーリングスタイルを好む僕にはぴったりのバイクです。カートコースのような小さめのサーキット走行にも使ってみたいですね。

KTMのモデル群全般に言えることだと思いますが、ライダーをやる気にさせるのが上手です。速く走りたくなりすぎるぐらいアドレナリンが出てきます(笑)。なぜそうした感情がわき起こるのかというと、KTMのマシン造りには妥協がないからだと思います。造り手の純粋さが伝わってくる仕上がりで、どこを見ても本物という感じを受けます。そんなKTMが造る象徴的なバイクの1台が、690 DUKE Rだと思いますよ」(談)