──オレンジ隊員のドラッグレース挑戦記──
轟く咆哮、巻き上がるスモーク……歓声と表彰台と。

KTMさえあれば何にでも挑戦するオレンジ隊員1号。今度は、ドラッグレースに挑戦しました。舞台は仙台ハイランドレースウェイ。ジャパン・ドラッグ・レースウェイと呼ばれるこのコースは日本で唯一の常設の1/4マイルアタックが出来るドラッグ専用レース場です。

ただし、今年は東日本大震災によって大きな被害を受けました。ドラッグレース場も400m地点を過ぎたあたりから路面が大きくひび割れ、リターンロード(レースを走り終えた選手がスタート地点に戻るための通路)も半分くらいは崩壊して落ちてしまっています。このため、今回開催されたレース(走行会)では、0-200mでの計測として開催されました。

この走行会(レーストーナメント含む)は、JD-STERというドラッグレース普及団体によって開催されています。ドラッグレースというのは日本ではあまりなじみが無いのですが、アメリカではもっとも盛んなモータースポーツのひとつ。テレビのスポーツチャンネルでも高い視聴率で知られていますから、ご覧になったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
KTM誕生の地・ヨーロッパでも一定のファンが居り、スーパーデュークRにスーパーチャージャーを積んだ大改造車でレースしているライダーもいるほどです。

ドラッグレースの魅力は、まずはなんと言ってもその手軽さと、一方で驚くほどの奥の深さ。タイムアタックだけならば本当に文字通り誰にでも挑戦できますし、トーナメント戦でも基本的には自分のタイムと近い人との争いですからいつでも勝てる可能性があります。トーナメントを勝ち抜かなくては最終的には優勝まではたどり着けないので、そこにいたるまでの挑戦もまた楽しみの一つです。
奥の深さは、シグナルが変わる瞬間に如何にあわせてクラッチをつなぐか、から始まってスロットルの開け方やサスペンションのセッティング、何よりも隣のレーンの相手とのスタートラインへのつき方などの心理戦もあり、やればやるほど面白さにはまっていく感じです。

そんなドラッグレースに、オレンジ隊員1号が参加してみました。マシンは、2011年モデルのRC8R。スーパーバイクというカテゴリーにある、フルフェアリングのスポーツバイクでドラッグレースとは縁がなさそうですが、このスタイリングはドラッグレースでも間違いなく映えることでしょうし、何よりもKTMのイメージリーダーです。バイクのあるところすべてにKTMあり。ロードも、オフも、ドラッグもいろいろなKTMで徹底的にしゃぶりつくしたい我々としては、ここに挑戦しなくてはオレンジが廃る!……ってなわけなのでした。

さて、トーナメントに向けた予選を走りきり、まずは第一回戦。だいぶ慣れてきたのでバーンナウトにも力が入ります。スタート前に思い切りタイヤを空転させて暖め、グリップ力を高めるのがこのバーンナウトという儀式。
RC8Rならフロントブレーキは非常に良く効きますから、右手の指2本くらいでホールドすれば十分。シフトは2速、クラッチを思い切りよくつないで、一気に回転を上げて路面に押し付けます。さあ、気分が盛り上がってきました。

ここで思いっきりエンジンの音を響かせ、煙を上げて隣のレーンのライダーを威圧するときから勝負は始まっています。さらにそのままブレーキを滑らせながら一気にスタートラインまで迫り、止まります。ヘルメットのシールドを下げ、シフターを1速に入れ、スタートラインに近づきます。これはステージングというプロセスで、2本の光電管が走るスタートラインをまずはひとつさえぎり、相手が同じラインにたつのを待ちます。この辺が心理戦で、どちらのライダーが先にステージランプをつけるかから勝負は始まっています。
トーナメント戦は『プロスタート』という方式で、クリスマスツリーと呼ばれるシグナルが順番に点灯するのを待つのではなく、イエローが3個、一気に点灯したすぐ後に点く緑灯を待ってスタートを切ります。グリーンシグナルまでの間はわずか0.4秒。人間の物理的な反応速度の限界だそうで、したがって0.4秒より早くスタートを切ってしまうとフライングで失格です。レースでアツくなっていると犯しやすいミス。でも、ここ(リアクションタイムといいます)ぎりぎりを狙っていかないと、スタートで前に出ることはかないません。

シグナルはイエローがついた瞬間くらいのつもりでクラッチを離します。イキナリ離せばもちろんフロントが高々と上がってしまうだけですから、といって半クラッチをいつまでも使っていたのではクラッチも痛むし加速しませんのでそのあたりをどう操るかも腕の見せどころ。
RC8Rは中間加速がすばらしい上に上まで伸びていきますので、スタートでちょっと遅れたと思ってもきっちりアクセルを開けて行っていいタイミングでシフトすれば、前に出て行くことは可能です。やった!ゴール地点で前にいたのはRC8R。200mを駆け抜けた時点での到達速度はすでに168kph。これでまずは1勝目。

こんな感じで、トーナメントですから2回戦、3回戦と進み、決勝のころにはだいぶ薄暗くなっていました。それでも勝ち進み、決勝の相手にもきっちり打ち勝ってついに優勝! そうです、オレンジ隊員がRC8Rで、しかも(かなり場違いな?)ドラッグレースで優勝を飾りました。日本国内でのRC8Rによる初優勝ではないでしょうか……。JNCCで骨折した左手ながら、頑張ってクラッチをつなぎ続けた甲斐があったってもんです。いやぁ、表彰台の気持ちよかったことと言ったら!

KTM、改めて最高のマシンですよ。モトクロスのワールドタイトルをほぼ独占した上に、ロードレースでも活躍し、素人の遊びとは言ってもドラッグレースでも勝てちゃうんですからね。オートバイを手にした以上、いろいろな遊びに思いっきり突っ込んで行きたいのはおもちゃを手にしたことのある方なら必ずわかっていただけるはずの感覚。それを本当に現実にすることが出来るKTM、まだお持ちで無い方はあまり考えずに手にしてしまったほうが人生が数倍輝きますよ~!

もちろん、現在のKTMオーナーのみなさま、いろいろな遊びにどんどん参加して、楽しみの幅をぜひ、広げてみましょう。KTMオレンジ隊員たちがそのお手伝いをさせていただきます。今年からオンもオフも大きく遊びの場を広げているKTMですから、きっと皆様の楽しみにお答えできる場所があるはず。ぜひ、どこかのシーンでご一緒させてくださいね。