超ツイスティー、超ハイスピード。
ウェアがボロボロになるくらい、ウッズを攻めまくりました。
──小池田 猛のAMA Inyan Kara National Enduro 参戦レポート

全く初めてのコースで、下見もできない。ぶっつけ本番だ。「不安だった」と、小池田選手は言う。

全く初めてのコースで、下見もできない。ぶっつけ本番だ。「不安だった」と、小池田選手は言う。

AMA Inyan Kara National Enduroが行われたワイオミング州アップトンは小さな町です。町の入り口にある看板には人口1100人、標高1270メートルなんて書かれています。
この小さな町で行われたAMAのエンデューロ国内戦第6戦目にJEC、JNCCのダブルタイトルを持つ小池田 猛さんがエントリー。シーズンオフの怪我に泣いたうっぷんを晴らすかのように快勝したJNCC第3戦・信越大会が行われた爺が岳から自宅に戻るや、荷物を詰め直し、アメリカへと出発したのです。
では小池田さんのリポートをお届けします。

爺が岳で行われたJNCCから戻り、水曜日には成田を発ち、アメリカに向かいました。AMA Inyan Kara National Enduroに参戦するためです。このレースはAMA国内エンデューロシリーズの第6戦にあたります。アメリカのオンタイム制のエンデューロに参加するのは初めてです。FIMやMFJのオンタイムエンデューロとは異なり、イベントは1日。JNCCなどのコースを周回するタイプとも異なり、1周約160㎞の大きなループを移動区間(リエゾン)と競技区間(テスト)に分け、タイムで競います。

マシンはKTM USAが用意してくれた250SX-F。

マシンはKTM USAが用意してくれた250SX-F。

今回、僕はKTM USAが用意してくれた250SX-Fで参戦しました。このバイクはKTM USAのファクトリーライダーが乗るマシンと同仕様で、ファクトリーコネクションがチューニングしたサスペンション、そしてFMFの排気系に交換されていました。
騒音規制の厳しい日本仕様よりも、規制の緩やかなアメリカ仕様をモディファイしていました。走らせた印象としては、JNCCで乗っている250EXC-Fよりもパワフルに感じました。

コースの下見なし。マーカーがあるだけでコーステープはありません。ぶっつけ本番、しかもまったく知らないコースを攻めるということで、ミスコースしないか心配でした。

スタート地点となったのはアップトンの町にあるハイスクールの駐車場。テストまでのリエゾン区間はハイペースで走ることができ、250SX-Fを6速全開できる設定でした。早着、遅着のペナルティーがないため、リエゾンの途中でマシントラブルでも起こさない限りは、テストのスタートに遅れることはなさそうでした。

さて、競技区間となるテストですが、全部で6本が用意されていました。それぞれの距離は、テスト1が8.8㎞、テスト2が11.2㎞、テスト3が18.4㎞、テスト4が8㎞、テスト5が18.4㎞、テスト6が15.2㎞。
テストとリエゾンを合わせると総走行距離は160㎞ほど。ゼッケン順に5台が横一列になってスタートを切ります。その5台の中にプロクラスのライダーが1人入ってスタートする、というスタイルです。
つまり、僕がスタートする組にはプロクラスは僕一人。初参加の僕としては、こちらのエキスパートライダーを手本に走ろう、観察してやろう、と考えていたので、作戦が立てにくい状況に追い込まれました。
JNCCのような周回コースなら、周回する毎にコースを覚え、馴れることもできるのですが……。

アメリカのオンタイム制のエンデューロに参加するのは今回が初めて。1周約160㎞の大きなループは、移動区間と競技区間に分けられていている。スタートは、ハイスクールの駐車場だ。いよいよスタートの時間。

アメリカのオンタイム制のエンデューロに参加するのは今回が初めて。1周約160㎞の大きなループは、移動区間と競技区間に分けられている。スタートは、ハイスクールの駐車場だ。いよいよスタートの時間。

いよいよスタートです。スタートで最も重要なのは、前に出ること。さもなければホコリを浴び、苦労することになります。ルートは細くシングルトラック。ブッシュや木が多く、場所によってはルートの左右に立っている木と木の幅がハンドルバーより狭いため、パッシングも簡単ではありません。しかもマーカーがあるだけなので、あまりラインに集中しすぎると曲がる場所をオーバーランすることもしばしば。なかなかリズムに乗れません。

何度も木にぶつかりながら走りました。攻め過ぎるとコースアウトしてUターン。最初のテストは体も硬く攻めきれないまま終了。5台の中にプロクラス1人なので、経験のあるライダーの走りを参考にすることもできずテスト2に突入です。

またもや狭いルートが続きます。途中、見た目には問題なく通過できそうだったマディの轍にはまり、1分ほどロス。後続スタートのライダーにも追いつかれてしまいます。プロクラスのライダーを先行させ、参考にすべく追走しましたが、ホコリがひどく距離を開けることに……。

馴れてきたのは続くテスト3からでした。丸太越えや倒木を超える箇所も多く転倒もしましたが、素早く再スタート出来たこともあり、リズムに乗れました。250SX-Fはリアにリンクサスを備えていますが、コーナーの手前で減速しながらギャップを通過するような場面で接地性の良さを感じました。

テスト4、続くテスト5は良い感じで走ることができました。そして最後のテスト6。このルートは変化に富みテクニカルで楽しいものでした。狭いウッズ、ハイスピードで走れる林道セクション、ガレ場の上り下り、そして幅1メートルほどしかない谷底の道などが15㎞の中で次々と違うシチュエーションで現れるのです。

アメリカのエンデューロレースの難しさ、厳しさ、そして面白さを味わった。

アメリカのエンデューロレースの難しさ、厳しさ、そして面白さを味わった。

そのテスト6を走っている時、ハンドガードエンドが外れてしまい、足で押さえながら走りました。しかし程なくハンドガードそのものが脱落。狭いウッズセクションで指を挟むのでは、と心細くなりました。

結果は総合11位。ぶっつけ本番、参戦しているJNCCなどともスタイルが異なり、ルートが極端にタイト等々、僕にとっては未知の部分が多いレースでした。
ただ、トップライダーとのタイム差が少なくないのも事実。狭く一本のラインが延々続き、下見も出来ないため、野生の勘と瞬間的な判断が求められました。むやみに攻めるとロスする場面もあり、このコースでの経験がモノをいうレースだ、と思いました。
結果は満足できませんが、次につなげるためのいいチャレンジでした。

トップライダー達のウェアは破け、ヘルメットには傷が目立ちます。ある意味サバイバルなレースでした。トップライダーの走りをつぶさに見られなかったのは残念でした。経験が一番の練習とも言えそうなこのレースで、彼らがどう戦っていたのか……興味深いところです。

このレースでは戸惑うこともありましたが、この経験を、次回の海外レース参戦時に生かしていきたいと思います。今後も応援をよろしくお願いします。(レポート──小池田 猛)

コチラにリザルトが掲載されています。