2012 New Model Impression EXC Series
エンジン+シャーシともフルチェンジ!
2012年KTMオフロードビッグニュースをフォロー。
エンデューロモデル夏休み集中ゼミ、開講──第1回

2012年オフロードモデル、中でもフルモデルチェンジし注目度の高いエンデューロモデルに関してたっぷりお伝えしましょう。
メカニズムから乗り味まで、題して「やっぱり欲しくなる」講座──オレブロ的夏期集中ゼミ開講します。

では概要から。2012年モデルのニュース性について。ポイントはコチラ。

Q そのニュースとなる部分はどこですか?
A はい、全部です。

なぜなら……。

●KTMのエンジニアは数年後まで通用するアドバンテージを見据え、エンジン、フレームまでリニューアルしています。
●  ラインナップの再構築

350EXC-Fが新登場。昨年、モトクロスシーンを賑わした350系エンジンを搭載したミドルクラスエンデューロマシンを投入です。そのほか530系が500EXCへと進化。そして国内に導入するEXC系モデルは、ハイエンドなPOWERPARTSを標準装備したSIXDAYSモデルのみの展開。本来、期間限定生産のプレミアムモデルなので、これもニュースです。

SIXDAYSモデルを少し詳しく……。

SIXDAYSモデルの内容は写真でご紹介します。SIXDAYSモデルの特徴でもあるISDE(インターナショナル・シックス・デイズ・エンデューロ)開催国をイメージさせるボディーグラフィックを2012年モデルも継承。今年のフィンランド開催に併せ、KTMオレンジにホワイト+ブルーのフィンランドフラッグカラーを盛り込んだ印象的な意匠となっています。

(写真左)SIXDAYSモデルのスペシャリティーとして……、オレンジコートされたフレーム。(写真右)SXSトリプルクランプ。削り出しパーツです。ハンドルバーは専用のオレンジカラーパーツを使用。

(写真左)SIXDAYSモデルのスペシャリティーとして……、オレンジコートされたフレーム。(写真右)SXSトリプルクランプ。削り出しパーツです。ハンドルバーは専用のオレンジカラーパーツを使用。

(写真左)GIANT製リムを採用。スポーク、リムともブラックフィニッシュ! フロントアクスルシャフトにアクスルプーラーを標準装備! フレーム下部、エンジン下部を保護するプロテクターも装備。(写真右)リア用ディスクローターにマッドに強いホール無しタイプを採用。オレンジ色のローターガードも装備。メンテナンスを短時間で済ませるため、リアブレーキキャリパー用パッドピンをクイックリリースタイプとしている。

(写真左)GIANT製リムを採用。スポーク、リムともブラックフィニッシュ! フロントアクスルシャフトにアクスルプーラーを標準装備! フレーム下部、エンジン下部を保護するプロテクターも装備。(写真右)リア用ディスクローターにマッドに強いホール無しタイプを採用。オレンジ色のローターガードも装備。メンテナンスを短時間で済ませるため、リアブレーキキャリパー用パッドピンをクイックリリースタイプとしている。

リアスプロケットのインナーをアルミに、チェーンが実際にドライブする歯車部分はスチールとしたハイブリッドタイプを採用。サンド、泥などでスプロケットが早期摩耗してしまわない、強さと軽さを併せ持つ。

リアスプロケットのインナーをアルミに、チェーンが実際にドライブする歯車部分はスチールとしたハイブリッドタイプを採用。サンド、泥などでスプロケットが早期摩耗してしまわない、強さと軽さを併せ持つ。

導入機種は次の通りです。

4ストロークモデルが250EXC-F SIXDAYS、350EXC-F SIXDAYS、そして500EXC SIXDAYSの3モデル展開。400EXC、450EXCは未導入となります。2ストロークモデルは125EXC SIXDAYSの1機種展開となります。また、150XCを新規導入。125クラスの軽さ、+25㏄の大きなアドバンテージ、そしてリアにリンクサスを持つユニークかつ楽しいファンバイクに仕上がっています。
お馴染み、パワフルな300XC-Wも導入されます。

なお2ストロークモデルは競技専用車両となり公道走行はできませんが、クローズドコースやエンデューロコースで、パワフルながら滑る路面を咬むKTM独特の2ストロークエンジンを是非お楽しみ下さい。

それでは2012年モデルの250EXC-Fと350EXC-Fをさらに詳しくご紹介しましょう。

(写真左)完全新設計されたフレーム。徹底したコンパクト化、軽量化を図り、剛性バランスもよりエンデューロに適した特性を与えられた。PDS(プログレッシブ・ダンピング・システム)リアショックのアッパーマウント位置、マウント方法を変更することで、リアショックから伝わるモーメントを隔離分散させているのが特徴。2011年モデル比で前後方向の剛性を弱める一方、ねじれ剛性を強化。フレームの剛性バランス変更に併せリアスイングアームも新設計されている。WP製倒立フロントフォークには新しいオイルシールの採用、ベアリングの進化で作動性をさらに向上。同時にリセッティングも行われている。(写真右)リアショックはKTMがエンデューロモデルに長年採用するPDSショックを採用。2012年モデルは7mm全長を伸ばしている。プリロードアジャスターも新しい形状のものを採用。

(写真左)完全新設計されたフレーム。徹底したコンパクト化、軽量化を図り、剛性バランスもよりエンデューロに適した特性を与えられた。PDS(プログレッシブ・ダンピング・システム)リアショックのアッパーマウント位置、マウント方法を変更することで、リアショックから伝わるモーメントを隔離分散させているのが特徴。2011年モデル比で前後方向の剛性を弱める一方、ねじれ剛性を強化。フレームの剛性バランス変更に併せリアスイングアームも新設計されている。WP製倒立フロントフォークには新しいオイルシールの採用、ベアリングの進化で作動性をさらに向上。同時にリセッティングも行われている。(写真右)リアショックはKTMがエンデューロモデルに長年採用するPDSショックを採用。2012年モデルは7mm全長を伸ばしている。プリロードアジャスターも新しい形状のものを採用。

“抑えておきたいKTM的ポイント”

KTMのPDSシステムは、リンケージを持たないリアサスペンションシステムです。リンクを使わずに初期はソフトに、ストロークを大きく使った領域ではしっかりと路面からの入力を受け止めるよう、ショックユニットそのものにプログレッシブなダンピング効果を持たせたもの。

リンケージを持たないことで次のようなメリットをもたらします。

1. シンプルな構造、パーツ使用点数が少ないため軽量化に優位。
2. リンクレスのため、メンテナンス要求度が低い。
3. また、リンク位置などに左右されないため、バイクパッケージのレイアウトにも優位性あり。

(写真左)適正な剛性バランスを持ちながら従来モデルよりも300g軽量化を達成。また、ショックマウントの位置を車体センターよりに寄せているのも特徴。(写真右)ライダーがコントロールする上で、ボディーはバイクとの一体感を得るために大切な部品。スリムでフィット感の高い構成となっている。一目でその残量が解る半透明のタンクの容量は9リットル。2ストロークモデルは10リットルを確保。POWERPARTSには13リットルタンクもラインナップ。

(写真左)適正な剛性バランスを持ちながら従来モデルよりも300g軽量化を達成。また、ショックマウントの位置を車体センターよりに寄せているのも特徴。(写真右)ライダーがコントロールする上で、ボディーはバイクとの一体感を得るために大切な部品。スリムでフィット感の高い構成となっている。一目でその残量が解る半透明のタンクの容量は9リットル。2ストロークモデルは10リットルを確保。POWERPARTSには13リットルタンクもラインナップ。

“PDSトリビア情報”

PDSを開発した担当エンジニアは、現在もKTMオフロードモデル開発のキーマン。その彼がKTMの車載工具に入っている「栓抜き」を開発した人でもあります。初期の正立フォークを採用したフロントアクスルシャフト抜きとして、あの工具は開発されました。しかし、アクスルシャフトプーラーを装備することで、「栓抜き」もお役ご免となるハズでした。が、本人を含む少数の人しか専用工具という認識が無く「栓抜きとして便利」という社内の声が多かったことで、今なおKTMの車載工具のアイコンとして愛用されています。ご本人のインタビューはコチラ。ちなみに、栓抜きの反対側のリングレンチ(13mm)は、あちこちのメンテナンスで活躍するよう吟味してデザインされています。

(写真左)全体のレイアウトの中で「ベストな形状」という限られた条件を満たしエアクリーナーボックス容量も拡大。また、短時間でメンテナンスを可能にするため、エアフィルターまでのアクセスに工具は不要だ。インテークブーツも搭載されるエンジンの要求に併せ、個別に最適化された形状のものを採用。こだわっている部分だ。(写真右)2012年モデルのエンジン周りのニュースは……。4ストローク全モデルにケーヒン製電子制御フューエルインジェクションを採用。スロットルボアはφ42mm相当。これにより気温、気圧(標高など)の変化にエンジンマネージメントシステムが自動補正をかけることで、いつでもベストセッティングでのパフォーマンスを発揮。燃費も向上。キャブレターモデルでは避けられない走行中における車体のピッチングなどで誘発されるオーバーフローが無いため、ハードなコンディションになるほど燃費的に強みが現れる。併せてエンジン特性もより扱いやすいものへと作り込まれている。また電子制御フューエルインジェクションの採用で要求電力量も増加。それに対応する196Wのジェネレーターを採用。SX-Fに比べ慣性重量も増大。

(写真左)全体のレイアウトの中で「ベストな形状」という限られた条件を満たしエアクリーナーボックス容量も拡大。また、短時間でメンテナンスを可能にするため、エアフィルターまでのアクセスに工具は不要だ。インテークブーツも搭載されるエンジンの要求に併せ、個別に最適化された形状のものを採用。こだわっている部分だ。(写真右)2012年モデルのエンジン周りのニュースは……。4ストローク全モデルにケーヒン製電子制御フューエルインジェクションを採用。スロットルボアはφ42mm相当。これにより気温、気圧(標高など)の変化にエンジンマネージメントシステムが自動補正をかけることで、いつでもベストセッティングでのパフォーマンスを発揮。燃費も向上。キャブレターモデルでは避けられない走行中における車体のピッチングなどで誘発されるオーバーフローが無いため、ハードなコンディションになるほど燃費的に強みが現れる。併せてエンジン特性もより扱いやすいものへと作り込まれている。また電子制御フューエルインジェクションの採用で要求電力量も増加。それに対応する196Wのジェネレーターを採用。SX-Fに比べ慣性重量も増大。

(写真左)250EXC-F、350EXC-Fにはマップセレクトスイッチを標準装備。(写真右)POWERPARTSに用意されたユーザーセッティングツールを使うことでコンディションに合わせたセッティングを短時間ですることも可能に。

(写真左)250EXC-F、350EXC-Fにはマップセレクトスイッチを標準装備。(写真右)POWERPARTSに用意されたユーザーセッティングツールを使うことでコンディションに合わせたセッティングを短時間ですることも可能に。

(写真左)350EXC-Fのエンジン、その開発目標は……。軽量&コンパクトと、扱いやすい高性能。すでに2011年モデルの350SX-Fで磨かれた特性、性能面でのアドバンテージというコンセプトを、そのままエンデューロユースに向けたハイパフォーマンスな作り込みが行われた。エンジンオイル無しの状態で総重量28.5㎏というエンジン単体重量を実現。エンジン特性は、5000rpmからトルクが盛り上がり、6500rpmから9000rpmまでの広いレンジで36Nm以上のトルクを発揮。また出力も8000rpmから上でほぼフラットなままレブリミットまで到達する予測しやすいエンジン特性を実現。250のような軽さ、450のようなパワフルさ。そのどちらも提供するパワーユニットに仕上がっている。

具体的には……。1.圧縮比を最適化。12.3:1という圧縮比とすることでエンデューロに適したパワー特性を生み出す。2.エンデューロシーンで求められる低速トルク域を引き出すために専用設計されたカムシャフトを採用。また軽いテンションのバルブスプリングを採用することで、フリクションロス低減も実現。スプリングリテーナー、ワッシャーも新設計のものを使う。3.ピストン形状もEXC-F専用のものに。ピストントップのドーム高を低減。シリンダーもエンデューロに求められるタフネスを与えている。4.エンデューロマシンに相応しい特性のために新設計のクランクを採用。慣性マスを増大させている。

ちなみに250EXC-Fは、エンジンケースを新設計。ラジエターへの冷却経路見直しによる冷却性能の向上でタフネスアップ。吸気経路であるインテークポートを新設計した新型シリンダーヘッドを採用。またフューエルインジェクション採用も併せ、パワー特性を大きく向上。扱い易さに磨きが掛かっています。また、始動の心強い味方、セルフスターターモーターのシステムを新設計。オルタネーター周りの形状も2012年モデルになって変更。発電容量もアップ。

(写真左)バランサー、ウォーターポンプなどを兼ねるマルチファンクションのバランサーシャフト。比重の重いタングステンをインサートせずに小型ながら大きな性能を発揮。(写真右)コイルではなくダイヤフラムスプリングを採用したことによるシステム全体にコンパクト化、操作力低減にも効果を生むクラッチシステム。ダンパーを内蔵することで、駆動系の保護にも効果がある。トランスミッションは正確なシフト操作を可能にする6速。350EXC-Fのエンジン特性に合わせたギアレシオを配置。

(写真左)バランサー、ウォーターポンプなどを兼ねるマルチファンクションのバランサーシャフト。比重の重いタングステンをインサートせずに小型ながら大きな性能を発揮。(写真右)コイルではなくダイヤフラムスプリングを採用したことによるシステム全体にコンパクト化、操作力低減にも効果を生むクラッチシステム。ダンパーを内蔵することで、駆動系の保護にも効果がある。トランスミッションは正確なシフト操作を可能にする6速。350EXC-Fのエンジン特性に合わせたギアレシオを配置。

エンデューロモデル夏休み集中ゼミ、如何ですか? 次回は500EXCについてお届けします。