全日本ロードレース選手権スーパーバイククラス参戦!
KTMのストリートレースチャレンジ、始まる。

オフロードではさまざまな旋風を巻き起こし、多くのオレンジユーザーを興奮の坩堝に巻き込んできたKTM。そのレーシングDNAはもちろんストリートにも根付いています。オレブロでも折に触れてご紹介しているIDM=ドイツ選手権スーパーバイクもその一例。

そんなKTMのアスファルトの上での活躍をもっと身近に感じてもらうべく、日本でもJSB、全日本ロードレース選手権スーパーバイククラスへの参戦が始まりました

これまでは、ディーラーさんが主体となったレース活動としての参戦だけでしたが、今年はある意味すべてのお客様にもっと身近に感じていただけるよう、誰にでも作ることが出来るレースマシンでの参戦がテーマ。

つまり、使い込んだマイバイクをKTMの純正部品パワーパーツだけでセットアップを進め、日本の最高峰のレースに挑戦してしまおうという企画です。

車両は、使い込んだノーマルのRC8R、2009年モデル。2011年の新しいバイクではなく、お客様がもし“レースに参加したい”と思ったときにはまったく同じ仕様をいつでも作れるようにしたわけです。

RC8Rを駆るのは鈴木大五郎選手。JSBや鈴鹿8耐、スーパーモタードなどのレース活動はもちろん、二輪雑誌のテスターとしても活躍している。

RC8Rを駆るのは鈴木大五郎選手。JSBや鈴鹿8耐、スーパーモタードなどのレース活動はもちろん、二輪雑誌のテスターとしても活躍している。

したがって、大きな改造は施しません。レギュレーションに合わせたワイヤリングやキャッチタンクの取り付けなどを行い、パワーパーツで用意されているカウルを装着し、クラブレースキットを装着しただけ。むしろお客様のほうがお金をかけていらっしゃる方がいるかもしれません。

こうして作られたマシンをベースに、ジャーナリストとしてもおなじみのレーシングライダー、鈴木大五郎さんが乗り、5月15日に三重県は鈴鹿サーキットで開催された2011年の第1戦に、KTM RacingとしてRC8Rは出走しました。KTMが贈る、誰にでもあった自分のバイクで思いっきり走ってみたい、誰かと競争してみたい、そんなキモチ=Ready To Raceを実現するプロジェクトのスタートです。

もちろん、いわゆる『ファクトリーマシン』や体制ではありません。仲間が集まって手弁当で手伝いながらの参戦です。でも、オートバイの本質的な楽しさを追求し、またRC8/Rのお客様に身近に楽しんでいただきながら、コンセプトどおりRC8Rが戦闘力のあるマシンであることを証明してやりたいという気持ちも間違いなくありました。

そうして迎えた予選日。テストも行わず、練習も前日の走行機会があっただけという状態なのに、いきなり好タイムを連発、あっという間に15秒3というタイムを記録。そのときの18番手、市販で手に入る17インチタイヤのトップです。

ほとんどノーマルといえるRC8Rでの、全日本スーパーバイク選手権への挑戦です。

ほとんどノーマルといえるRC8Rでの、全日本スーパーバイク選手権への挑戦です。

つまり、RC8Rより上位を走るバイクはみんな一般では手に入らない16.5インチのタイヤで走るスペシャルマシンたち。エンジンも高度にチューニングされており、その中にノーマル然としたKTMのマシンが食い込んでいくのですから見ていて興奮しないはずがありません。

タイムボードを見守るピット内は盛り上がります。3回のノックダウン式(予選下位が順次足きりされていく予選形式)予選のまずは第1回目を難なくクリア。2回目はさらにタイムアップを目指してタイヤを新品に変更しましたが、遅い車に引っかかってタイムアタックをしそこない、タイムは伸ばせませんでした。とはいえ、20番手で予選通過。ライダーはまだまだタイムは伸ばせる気満々で決勝を迎えます。

決勝日の朝、ウォーミングアップセッションではピットロード出口での転倒など、全体にトラブルが続出。KTM Racing は特に大きな問題はありませんでしたが、タンクを満タンにして初めて走り、サスペンションのセッティングを調整。また、減速比の変更を試すなど、本番に向けて調子を整えます。そして決勝。

鈴鹿サーキットのスターティンググリッドにKTM RC8Rが並びます。周りは車両本体にかかっている金額だけでもわれわれとは比較にならないようなスーパーバイク、それでも特徴的なデザインのマシンはひけを取ることはありません。クルーへのコース外への退去命令が出て、グリッドにはライダーだけが残され、いよいよスタートを迎えます。

今回、細かいいくつかのトラブルがありましたが、タイム的には予想以上。次回の挑戦は、9月10〜11日、大分県・オートポリスで行われる第6戦です。

今回、細かいいくつかのトラブルがありましたが、タイム的には予想以上。次回の挑戦は、9月10〜11日、大分県・オートポリスで行われる第6戦です。

レッドシグナルが消え、全車一斉にスタート。豊かなトルクを生かしてスルスルッと前に出たかのように見えたRC8Rと鈴木大五郎選手でしたが、燃料が重い症状が出ているのか、タイムが上がりません。元が軽量なマシンだけに、重量の変化が大きく影響しているようですし、そもそもノーマルエンジンですから最高速は他のマシンと10km/h以上もの差があり、混戦になると厳しいようです。

鈴鹿サーキットだと、第3コーナーからダンロップブリッジまでの区間は非常に速く、ハンドリングのすばらしさとVツインエンジンならではのトルクがマシンを前へと推し進めます。タイムは予選に比べるとだいぶ遅いペースのままでしたが淡々と無事に周回し、完走を果たしました。

スズカにやってきた子供たちにも優しく接し、とびっきりの笑顔を見せる大五郎選手。

スズカにやってきた子供たちにも優しく接し、とびっきりの笑顔を見せる大五郎選手。

万が一転倒でもしたらそれっきりですから、次に生かせるデータが回収できるだけでも貴重なレース。大五郎選手はよく頑張ってくださいました。

どうやら、ちょっと弄ったサスペンションが逆にマシンのハンドリングを引き出しきれなかったことと、使い古しのエンジンか電気系統が不調を訴えていたようです。予選まではずっと上り調子で走るほどに速くなっていったRC8Rでしたが、ちょっと悪条件が重なってしまったようで、残念でした。

RC8Rによる全日本選手権への挑戦ですが、まずはタイム的には期待以上の収穫があり、今後の可能性に含みを持たせる結果になりました。決勝の不調で思ったような結果は残せませんでしたが、これはこれで次戦までに解決できれば問題なし。課題が明確になったという意味ではいい参戦でした。
ご協力くださいました、DUNLOP様、MOTOREX様、MOTUL様 ありがとうございました。

次のレースは9月のオートポリス。時間があるので、たっぷりと時間をとり、万全の調子で臨みたいものですね!

■写真──S.YOSHIDA