ヒストリック・モデル第13回
DUKE物語 最終回
ライトウエイトスポーツという、変わらないアイコンと時代性。

KTMの本社があるマッティグホーフェンからほど近いワインディングロードでのことでした。その道を一人のライダーが風のように駆け抜けます。右に川が流れ左には岩盤質の山肌が迫る対向2車線の道はどこか日本でもよくある道に思えます。そのワインディングは見通しが悪く、また雨で流れ出した小石が散らばるような場所があるなど、景色に反して時折緊張感を強いる場所も少なくありません。しばらくたってその道は直線の多く、長閑な感じにかわります。そして左右に湖沼が点在するエリアに入った頃、木陰でさっきのライダーがくつろいでいます。
「彼はウチのテストライダーなんだ」
KTMのスタッフはそう言って、休んでいる彼と親しそうに話し始めました。
オフロードバイクやスーパーモトとクロスーバーしたロードバイク。そのキャラクターが生まれた背景にはこうした道の存在があります。ライダーに人気のアルプス越えをする峠も、路面の荒れ具合や直線とタイトターンの組み合わせ、そして狭く険しい印象はよく似ています。
そんな道を走って軽快で楽しいバイク。軽くハンドリング性能に優れ、長い下りでもコントロールしやすいポジション。1994年のデビューから変わることなく今日まで継承されるDUKEの美点はワインディングロードを楽しむとよく分かります。もちろん、その軽快さはタウンユースやツーリングユースにも高い満足感を与えてくれます。
そのDUKEは2008年に大きな進化を遂げています。新しいLC4エンジンは、ストリートユースに優先順位を置いて開発された690LC4。従来型の 640LC4エンジンにはないスムーズさを手に入れ、ショートライディングからロングトリップまで快適な走りでライダーを楽しませます。また、2010年には排気量を拡大してよりパワフルになったDUKE Rを加えるなど、シングルエンジンロードスポーツの世界をさらに押し上げて行きます。ライトウエイトを楽しみたい。走りと燃費も両立できたら、という声を聞くようになりました。少なくともそれは乗る楽しさ以外にデビュー当時からDUKEが持ち合わせている特徴でもあるのです。

2008年にモデルチェンジした690DUKE。エンジン下部に排気系をまとめマスノ集中化を図り軽快さと安定感を両立させている。

2008年にモデルチェンジした690DUKE。エンジン下部に排気系をまとめマスノ集中化を図り軽快さと安定感を両立させている。

正面から見ると個性的なマスクが多くのパーツによって構成されているのが解る。パーツの高い質感とユニークなデザインがDUKEの十八番。

正面から見ると個性的なマスクが多くのパーツによって構成されているのが解る。パーツの高い質感とユニークなデザインがDUKEの十八番。