NEW RC8R TEST in Valencia 第2回
2011年RC8Rのここに注目!

バレンシアの街からホテルへと戻ってみると、到着が翌日になった参加国があるとのことで、プレスカンファレンスが翌朝に変更されていました。時差8時間の日本チームにとって夕方は日本の真夜中。少しだけホットするような気が抜けるような気分を味わい、ホテルで用意されたウエルカムディナーに参加するのでした。そこで本日二度目のパエリアと再会したのはいうまでもありません。

翌朝、ホテルで行われたカンファレンスにはKTMの開発部門からヨルグ・シューラー、RC8RでIDMインターナショナルドイツスーパーバイク選手権に参戦するレーシングチームに帯同するRC8シリーズの開発者でもあるウルフガング・フェルバー、そしてPRマネージャーを務めるトーマス・クトルフがプレゼンターを務めます。さらに、IDMライダー、マーティン・バウワー、ステファン・ネーベルの二人 も会場に姿を見せました。

ではさっそく新型RC8Rの特徴をリポートします。

より扱いやすく。エンジンキャラクターを最適化。

新型RC8Rのエンジンでメインフィーチャーとなるのがエンジンの改良です。その方向性はこれまで通りスーパースポーツとして求められるパワフルな側面と、狭い市街地でも扱いやすい親しみやすい特性を併せ持つという、実に贅沢なテーマに取り組んだものでした。

1195㏄の水冷VツインRC8エンジン。ボア×ストローク105mm×69mm、圧縮比13.5:1。スーパースポーツバイクのエンジンスペックからは想像出来ないほどスムーズな回転を低回転から生み出す。スリッパークラッチの装備も検討されたが今回は見送られている。

1195㏄の水冷VツインRC8エンジン。ボア×ストローク105mm×69mm、圧縮比13.5:1。スーパースポーツバイクのエンジンスペックからは想像出来ないほどスムーズな回転を低回転から生み出す。スリッパークラッチの装備も検討されたが今回は見送られている。

その手法としては、第1に燃焼室センターとアウターに装着した2本のスパークプラグを装備したツインスパークの採用が上げられます。

これはエンジン回転数やアクセル開度に加え、ギアポジションからセンシングされた信号を演算し、ECUから最適なタイミングで点火をするようにコントロールすることで、適切な燃焼状況を作り出し、よりスムーズなトルクデリバリーを目指しています。そのため、2本のプラグはシーンい合わせて位相点火タイミングを取り、7000rpm以上ではアウター側の点火を停止。センターのみで燃焼を行うというもの。

ツインスパークの恩恵は特に低回転域でのスムーズな燃焼に貢献。アクセルの開け始めのトルクデリバリーをよりスムーズ且つマイルドに。つまり開けやすい分、結果的には速く、気持ちよい加速をライダーは享受できるのです。センター、アウターでプラグサイズを変更することで、組み付けミスなどの整備性にも配慮されています。

(写真左)エンドの径を上げたほか100グラム重量を増やしたクランクシャフト。(写真中央)ユニークな形状のシリンダーヘッド。中央とサイドに2本のスパークプラグがあるのが見える。シリンダーヘッド内にはスーパーストックカムを備えるのも特徴。(写真右)25%と思い切った増量を計ったフライホイール。

(写真左)エンドの径を上げたほか100グラム重量を増やしたクランクシャフト。(写真中央)ユニークな形状のシリンダーヘッド。中央とサイドに2本のスパークプラグがあるのが見える。シリンダーヘッド内にはスーパーストックカムを備えるのも特徴。(写真右)25%と思い切った増量を計ったフライホイール。

これに合わせてカムタイミングを従来モデルよりも5度広く取ることも可能になり、トップエンドでのエクストラパワーも手に入れています。このカムシャフト、スーパーストックに用いるものと同様のものを標準装備としている点も新型RC8Rの特徴です。このツインスパークはドライバビリティーとエミッション性能、そして燃費性能も向上させています。

もちろんそれだけではありません。よりスムーズな回転を得るためにクランクシャフトのデザインを一新し、クランクエンドを大径化。新しいクランクシャフトは単体重量を100グラムアップ。えええ、重くなったの? と思われた方もあるでしょう。

開発者の言葉を引用すれば「スーパー、スーパーライトウエイトクランクから、スーパーライトクランクへと変更した」というイメージだそうです。

また、クランクケースもニューデザインに。これもパワー&トルクアップに貢献しています。これに合わせてフライホイールマスを従来モデル比25%増加(1kgの増加)。これによりウエイトバランスを外側に移動させるなど、徹底的にスムーズな回転実現に拘った設計陣。イグニッションカバーも新しいデザインへと変更されています。

これらはアイドリングでクラッチをつないでいくような場面から、サーキットトラックでのパフォーマンスまで、全域での使いやすさを手に入れています。本国仕様のスペックは175hpと127Nm。RC8R最強のパワーとなりましたが、それを意のままに操れるようにしつけられているのです。

信頼性・品質向上にも開発陣は目を向けています。オイルプレッシャースイッチをより防水性の高いものへと変更したほか、トランスミッションの操作性向上のために、シフトドラムに刻まれた溝のシェイプを変更。より確実で軽い操作感でシフト出来るよう変更を受けた点なども見逃せません。シフトリンケージ、チェンジペダルのデザインを合わせて見直しを受けています。

これらのパフォーマンスの向上とともにエンジンへのサービスインターバルも伸長させることに成功。バルブクリアランス調整のインターバルは2万キロ、通常のサービスインターバルは1万キロまで伸長しています。

タイヤーサプライヤーと磨き上げたシャーシ。

スーパースポーツモデルにとってエンジン、シャーシの性能と同等に大切なのがタイヤです。グリップ、旋回性、そして乗り心地。これらはモーターサイクルの乗った印象を決定づける大切な部分。そのパーツにKTMが拘るのも当然です。

KTMにとってクロームモリブデン鋼のパイプを用いたトレリスフレームを使うことはもはや伝統的なもの。求めらる高い剛性、しなやかさ、そして最適な位置にエンジンをマウント出来るメリットを持っています。最新の生産技術も手伝いこのフレームは僅か7.3キロの重量しかありません。また、鋳造パーツとアルミパネルを組み合わせたスイングアームも最高のスタビリティとトラクションをもたらすようにデザインされています。前後のスプリングをアジャストすることなくサスペンションリンクに装備されたエキセントリックを回すことで車高を変化させ、最適なジオメトリーを得る事も短時間で可能にしています。オフロードモデルがそうであるように、このRC8Rのスイングアームも、ホイール交換を短時間で出来るよう高い整備性が与えられています。サーキットでの走行時間を無駄にパドックで過ごさない。そんな工夫に惜しみない時間が費やされているのです。

KTMにとってクロームモリブデン鋼のパイプを用いたトレリスフレームを使うことはもはや伝統的なもの。求めらる高い剛性、しなやかさ、そして最適な位置にエンジンをマウント出来るメリットを持っています。最新の生産技術も手伝いこのフレームは僅か7.3キロの重量しかありません。また、鋳造パーツとアルミパネルを組み合わせたスイングアームも最高のスタビリティとトラクションをもたらすようにデザインされています。前後のスプリングをアジャストすることなくサスペンションリンクに装備されたエキセントリックを回すことで車高を変化させ、最適なジオメトリーを得る事も短時間で可能にしています。オフロードモデルがそうであるように、このRC8Rのスイングアームも、ホイール交換を短時間で出来るよう高い整備性が与えられています。サーキットでの走行時間を無駄にパドックで過ごさない。そんな工夫に惜しみない時間が費やされているのです。

新型8C8Rが履くタイヤはダンロップ・スポーツスマート。このタイヤは2010年3月にリリースされた新しいタイヤで、コンパウンドはシリカ、レジンの配合によってウエットグリップ、路面温度の高い場合への対応を高めた最新スポーツタイヤの文法に則ったもの。ライフを意識したトレッドセンター、グリップコンシャスなトレッドのサイドというマルチコンパウンを採用したトレッドというこのあたりまではもはや珍しくない部分です。

このスポーツスマート最大の特徴をダンロップのエンジニアにたずねると、「サーキット専用タイヤの技術NTECテクノロジーをストリート用として初めて採用したタイヤだ」という点です。

一般道ではメーカー指定の空気圧で走行し、サーキットトラックでは低いエアプレッシャーでの走行も許容する、というもの。空気圧を調整することでタイヤの接地面を増やすことでより高いグリップを、というコンセプトです。

もちろん、ただ接地面が増えるように空気圧を落としただけでは良い面もありますが、タイヤの剛性感が落ちるというデメリットが顔を出す場合があります。そこで、スポーツスマートではそんな場面でもタイヤが路面をしっかり的確に捉えるように、高いタイヤケース剛性が与えられているのです。つまりタイヤの構造(コンストラクション)を強めることでエア圧を落として接地面を増やしても腰砕けにならないタイヤ、といえるのです。ちなみに今回のバレンシアの場合、ドライであればフロント2.1、リア1.9で標準値の空気圧にも増して素晴らしいグリップを発揮するとのそうです

ストリートに出るときはメーカー指定の空気圧に戻すのが前提ながら、より走りに振ったハイスタンダードなパーツを使うのがKTMたる所以。IDMドイツスーパーバイク選手権でともにマニファクチャラータイトルを獲得したパートナーシップが、ストリートモデルにこうしたカタチで結実した一つの例と言えるのです。

このタイヤに合わせたシャーシセッティングを進めたというだけにバランスがとれたものとなる、と開発陣。OEMながら内部構造などはリプレイス用のものと同じものとのことでした。

(写真左)WPの手による倒立フォーク。φ43mmのインナーチューブのそれは120mmのストロークを持つ。スプリングのイニシャルプリロード、伸び側、圧側ダンパーとも調整可能なため、コンフォートセットにもレーストラックを全開で攻める時に適したアジャストを施すことも簡単。(写真右)フロント同様120mmのホイールトラベルを持つリアショック。フルアジャスタブルなのはもちろん、圧側減衰圧調整には低速、高速とピストンスピードに合わせた2つの調整機構付き。スイングアームとショックユニット丈夫を結ぶアームに繋がるリンクの結合部がエキセントリックとなっており、車高を調整し、シャーシジオメトリーを短時間に調整できるようにデザインされている。

(写真左)WPの手による倒立フォーク。φ43mmのインナーチューブのそれは120mmのストロークを持つ。スプリングのイニシャルプリロード、伸び側、圧側ダンパーとも調整可能なため、コンフォートセットにもレーストラックを全開で攻める時に適したアジャストを施すことも簡単。(写真右)フロント同様120mmのホイールトラベルを持つリアショック。フルアジャスタブルなのはもちろん、圧側減衰圧調整には低速、高速とピストンスピードに合わせた2つの調整機構付き。スイングアームとショックユニット丈夫を結ぶアームに繋がるリンクの結合部がエキセントリックとなっており、車高を調整し、シャーシジオメトリーを短時間に調整できるようにデザインされている。

また、リアサスペンションは95Nm/mmから85Nm/mmへとスプリングレートを変更。またのリンクにエキセントリックカムを標準装備し、車高を+/−4mm、8mmの幅(エキセントリック部分で)で車高を変えることが可能になっています。体重の差異やトラックの状況、ライダーの好みなどでライドハイトを変更出来るため、より的確なシャーシセッティングを可能にしています。

フロントフォークもエアチャンバーを30mm拡大し110mmへ。前後ともビギニングから作動性をより高めるセットアップであり、OEMタイヤにベストマッチさせているのです。

RC8シリーズの美点であるフルアジャスタブル・エルゴノミクスをそのまま継承。リアサブフレーム、ステップ、ハンドルなどの高さを変更可能としている部分はこれまで通り。

2011年KTMらしいグロスペイントを採用する外観。

さらに機能を高めたインストルメントパネル。

ホワイト&オレンジが鮮やかなグロスペイントをアウタースキンに採用した2011年RC8R。他にもヘッドライトユニット内にLEDデイライトを追加しているのも特徴です。

ギアポジション(6速を表示)インジケーターを表示するコクピット。メーターパネル上中央にはシフトインジケーターランプも備える。下の写真はガソリンのオクタン価95ROZを選択したときに表示される。下は98ROZ。95ROZモードを選択した場合、トップエンドパワーは175hp右170hpへとなる(本国仕様の場合)。

(写真左)ギアポジション(6速を表示)インジケーターを表示するコクピット。メーターパネル上中央にはシフトインジケーターランプも備える。(写真中央)ガソリンのオクタン価95ROZを選択したときに表示される。95ROZモードを選択した場合、トップエンドパワーは175hpから170hpへとなる(本国仕様の場合)。(写真右)98ROZを選択した場合。

またダッシュパネルは従来型と同等ですが、ギアポジションの表示位置を一般道用モードとレースモードで変更を可能に。燃費表示もヨーロッパで標準的なL/100kmだけではなく、私達に馴染みの深いkm/L、にUS、GBでの単位、MILE/GALLONの3モードから表示が可能に。また残量で走行可能な距離も燃料消費に照らして算出するなど、ツーリングでも耐久レースでも活躍する機能を搭載。

その他、POWER PARTSに用意されるRC8R ユーザーセッティングツール(UST)を使えば、データを転送が可能なほか、イグニッションタイミングやフュエルマップをラップトップから転送することも可能となります。

パウダーコートされたオレンジのフレーム、オレンジのホイールが印象的なRC8Rのストリップショット。前輪はφ320mmのダブルディスク+ブレンボ製ラジアルマウント4ピストンのモノブロックキャリパー、後輪用はφ240mmプレート+フローティングキャリパーを装備。

パウダーコートされたオレンジのフレーム、オレンジのホイールが印象的なRC8Rのストリップショット。前輪はφ320mmのダブルディスク+ブレンボ製ラジアルマウント4ピストンのモノブロックキャリパー、後輪用はφ240mmプレート+フローティングキャリパーを装備。

精悍なデザインの中にKTMらしさがぎゅっと詰まったRC8R。これまでどおりにスポーツライディングでのファンを追求し、これまで以上にデイリーユースでも快適で乗りやすい1台にまとまりました。

精悍なデザインの中にKTMらしさがぎゅっと詰まったRC8R。これまでどおりにスポーツライディングでのファンを追求し、これまで以上にデイリーユースでも快適で乗りやすい1台にまとまりました。

どうですか? 次回はいよいよバレンシアの太陽を浴びてGPコースで2011年モデルのRC8Rを全開にしたリポートをお届けします!(続く)