KTM IMPALA 山鹿延也さんインタビュー。
インパラ流コンセプトをお訊きしました。

2003年のKTMのディーラー開設以来、 IMPALAは独自の視点からバイクライフを提供しています。特にサスペンションセットの提案などを含め、KTMの世界をもっと身近に、という代表、山鹿延也(やましかのぶや)さんが持っているコンセプトは興味深いもの。そんな山鹿さんにKTMにまつわるちょっとオモシロイ話を教えて頂きました。

代表の山鹿延也さん。950ADVENTURE(オレンジ色)でオフロードコースもガンガン走る。なんでも相談して下さい、というスタンスが魅力。

代表の山鹿延也さん。950ADVENTURE(オレンジ色)でオフロードコースもガンガン走る。なんでも相談して下さい、というスタンスが魅力。

オレンジブログ(以下オレブロ):少しご自身のことをお話下さい。

山鹿延也さん:バイクショップに務め始めたのは10代の頃でした。バイクの量販店でバイクのあらゆることを勉強し、独立して店を始めました。KTMディーラーを開設する以前は、国内外のメーカー、車種を問わず取り扱うショップでした。最新モデルのセットアップから、カワサキのZ、スズキの刀、ホンダのCBなど絶版車のカスタム、旧車のレストア、配線、ハーネスの製作から、アメリカンが流行った頃にはパイプに砂を詰め、バーナーで炙って曲げるオリジナルのシシーバーを造るなど、物作りにまで踏み込んでやってした。ワンオフパーツの製作も得意にしていたんですよ。

IMPALAはKTMのディーラーとして2003年から営業しています。KTMのディラーシップ契約を結ぶキッカケの一つがRC8でした。2003年にモーターショウにプロトタイプが出展されていたでしょ。いつ出るのかなぁという感じで5年待ちました。やっと出た、という感じです(笑)。

オレブロ:他ジャンルを経験されている山鹿さんが見るKTM像とは?

山鹿延也さん:KTMに関しては凄くイジりやすいです。つまり整備性がものすごくいい。タンクを外すにしても限られたボルトだけでできます。あとはメーカーが純正のパーツリストにバネ定数の違うスプリングを準備しているという点も見逃せません。

つまり、ライダーの体重や好みに合わせてWPのサスペンションを近づけることが簡単にできる。例えばアフターマーケット用のサスペンションに交換したとしても、そのスプリングレート(バネ定数)が体重の重たい人やヨーロッパ的な速度域に合わせた物となっていれば、交換しただけでは日本の道にフィット感は得にくい。カスタムをしても結果的にその辺をいじるコトになる。

それをメーカーが純正部品に用意しているというのは、長年バイクイジリをしてきた私にとって共感できるポイントです。

以前、CB450用のアフターマーケット用のサスペンションを探して、ヘイゴン社製のものを装着したのですが、体重57kgの私には硬すぎましたからね。

オレブロ:例えばサスペンションの悩みなどに対してIMPALAではどんなサービスを提供しているのでしょうか。

山鹿延也さん:まずお客様に合ったKTMを造る。これがインパラの基本とする部分です。ローダウン仕様を提案していますが、機種によってはローダウンするとサスペンションの動きに硬さが出る場合があります。その場合はトータルバランスに向けた減衰圧を生み出す部分の要でもあるシムを組み合えています。この部分をしっかりやらないと、せっかくの性能を崩すことになりますので。単純に車高を下げただけではありません。

その部分でもKTMは頼もしい。ディーラーがアクセスできるパーツリストの、サスペンションのパートにはそのシム(サスペンションの中で減衰圧のキャラクターを決める大切なパーツ)表が出てきます。シムの内径、外径、そして肉厚など様々な仕様のものが用意されています。

以前、キャブレターのサービスショップをしていまして、例えばキャブレターの構成パーツがエンジジンのどの回転域で効いてくる物なのか、ある程度持ち受け部分が決まっています。その点で、組み方で性格が変わるサスペンションのシムは奥が深い。探求心を刺激します。

オレブロ:キャブレターのセッティングとサスペンションのセッティングは同じようなロジックなのですか?

山鹿延也さん:キャブレターは扱いやすいパターンに詰めて行くと、セッティングは限られてきて1つにたどり着きます。でもサスペンションは好みがありますから一つではない。ライダーがピッチングの造り方の好み、乗り方の違いでベストは変わってきます。サスペンションのモディファイは絶対に一度では決まりません。

オーバーホール時にシムなどのセッティング変更をされたお客様のものは最低でも2回から3回は無料でセッティング変更に応じています。確かに時間は掛かりますが、そのデータと結果はお客様にとっても財産になると考えています。

11月13日、14日にプラザ阪下で行われたRide is Lifeの会場にブースを出展。シート高の平均が980mmあるKTMのオフロード系モデル。その最初の難関を取り除く意味でローダウン仕様なんです、と山鹿さん。KTMに関心を持たれた方がイベントの合間にオレンジテントを訪れます。450EXCのサンプル車両に跨り、IMPALAのローダウン仕様を体感。

11月13日、14日にプラザ阪下で行われたRide is Lifeの会場にブースを出展。シート高の平均が980mmあるKTMのオフロード系モデル。その最初の難関を取り除く意味でローダウン仕様なんです、と山鹿さん。KTMに関心を持たれた方がイベントの合間にオレンジテントを訪れます。450EXCのサンプル車両に跨り、IMPALAのローダウン仕様を体感。

オレブロ:具体的な実例などがありましたら教えて下さい。

山鹿延也さん:以前IMPALAで690ENDUROのサスペンションモディファイをさせて頂いたことがあります。そもそも690ENDURO や690ENDURO Rは 速度レンジの高い所に合わせたサスペンションの設定になっていて、オフロードの難所と呼ばれるような速度を落として通過するような場面ではサスペンションが硬い印象となります。

お客様の印象として、オフロードコースを走るとフロント回りに硬さを感じるとのことでした。そこで、フロントのセッティングを変更して確認をいただきました。この段階ではリアはスタンダードのままです。フロントの設定変更が決まったあと、今度はハイスピードで轍を横切る時、リアが振られて恐いという症状が出てきました。そこでリアサスペンションユニットのシム変更をしました。

オレブロ:どのような方向性を与えたのでしょうか?

山鹿延也さん:このケースの場合、乗り方によって違いはあると思いますが、サスペンションが入ってこないから振られるのでは、と想定し変更を施しました。その方向で満足を頂けました。

元々WPサスペンションは内部パーツの造りやそれらの表面処理が高い水準で行われているので、細かく路面からの入力を処理してくれるサスペンションです。ですからライダーが恐いと感じる部分を取り除いてゆけばさらに走りやすくなりますね。またそれが可能なサスペンションですね。

IMPALAではまず初期段階としてサスペンションのサグ(ライダー1名が乗車した状態でサスペンションが縮む初期設定の目安)を合わせます。そこでショールームにお見えになったお客様自身にバイクに跨って頂き、足を着く部分に敷く板を用意していましています。スタンダードから調整をする、あるいはスプリングを変更してサスペンチョンとサグをお客様仕様にするとこれぐらいになります、という足つき性を体験していただいています。

これなら乗りやすそう。そんな声を頂けます。まずは乗って頂かないとKTMの良いところも伝わりません。KTMのロードモデルのシート高は平均860mmありますから、そこをクリアして間口を広げられればと考えています。ローダウン仕様を用意しているのも、最初はその仕様でKTMに乗って頂き、さらに走る場所を問わない行動範囲を広げてもらいたい。慣れてきたらスタンダードに戻すことも可能ですから。

足が着かないから恐い。そうなると行きたい所に行けないじゃないですか。特にオフロードモデルではビギナーの方に足つき性は大切です。慣れてくると足を着かなくてもクリア出来るようになる。そうなると足着きって気にならなくなるんです。

例えば、オフロードバイクの経験がある方は両足のつま先が付けば「オッケー」となるのですが、ロードバイクしか経験のない方がオフロードにチャレンジしてみよう、となると踵まで着かないと不安という方が大半です。そんなオフ車経験の有無も設定を造る上では大切にしますね。

IMPALAでは試乗車ごとにシェイプを変えたオリジナルのローシートも用意していて、それも体験して頂けます。

クリア塗装を施しRC8に新たな個性を与えるなど、様々なアプローチでKTMの魅力を引き出すIMPALA。ショールームにはローダウン仕様を体感できる試乗車も用意されている。

クリア塗装を施しRC8に新たな個性を与えるなど、様々なアプローチでKTMの魅力を引き出すIMPALA。ショールームにはローダウン仕様を体感できる試乗車も用意されている。

オレブロ:今回、サスペンションのお話が中心になっていますが、通常のメンテナンスからバイク全般のコトまでIMPALAの山鹿さんは造詣が深い方です。そんな山鹿さんに聞くKTM最大のセールストークをご披露頂きたいのですが……。

山鹿延也さん:KTMのバイクは造り手が時間をかけて造っています。どのモデルもクセのない軽いハンドリングに仕上げてあります。そしてIMPALAで御試乗頂く場合、その段階でお客様の意見を聞いてサスペンションの調整をしています。それで良いところが出るのがKTMなんです。これは良い部品が付いている証拠です。フルアジャスタブルだし当たり前の話しに聞こえるかもしれません。他社製品でフルアジャスタブルでも、狙った効果が得られない場合が少なくありません。自分に合ったものに調整が出来る。ノーマルでも充分にそれが可能な点はKTMの大きな美点です。

あとは690シリーズの燃費の良さでしょうか。1リットルあたり25kmは軽く行きますしね。

そして990ADVENTURE。これは見た目と乗ったときのギャップが一番大きいですよね。ローダウン仕様でもその良さがお解りいただけますので。是非体感してみて下さい。

オレブロ:オフロードモデルではいかがでしょか。

山鹿延也さん:WRやCRFなどとEXC-Fをともに新車からお乗りのお客様からはKTMの耐久性と整備性の良さを絶賛されています。実際、ショップでメンテナンスをしていても、バルブクリアランス調整のしやすさやその機構など、ショールームでエンジンを開けて中身をお見せしたいぐらいです。メンテナンスをしっかりしていれば高い性能を長い期間楽しめる。これもKTMの魅力です。

総じてKTMはどれも良いバイクです。これにつきますね。

KTMのバイクに負けず熱いショップであり、オンもオフも愉しむ山鹿さん。ご自身では2004年モデルの950ADVENTUREでオフロードコースもガンガン走るエンスージアストでもあります。こうした経験がサスペンション設定を変更するときに同じライダーとして自然にユーザーの感触を聞き出せる糧になっているといいます。今回ご紹介したIMPALAを含む情熱的なKTMディーラー に皆さんも是非お越し下さい!