デザイナー・インタビュー──セバスチャン・スタッシン
第1回 「KTMのスローガンであるREADY TO RACEというコンセプトを
具現化するために」

KISKAでKTM Freerideのデザインをとりまとめたセバスチャン・スタッシン。かつてホンダR&Dヨーロッパにおいて2002年発売のVFRのデザインにも参加した経験を持つ。穏やかな中に芯の強さが滲むデザイナー。

KISKAでKTM Freerideのデザインをとりまとめたセバスチャン・スタッシン。かつてホンダR&Dヨーロッパにおいて2002年発売のVFRのデザインにも参加した経験を持つ。穏やかな中に芯の強さが滲むデザイナー。

私はKTMのモーターサイクルデザインを担当するKISKAにおいて、KTM Freerideのデザインチームのまとめ役をしました。これまでもKISKAは単なる製品デザインをするのではなく、製品とブランドを一体化させるコミュニケーターとして、KTMのスローガンであるREADY TO RACEというコンセプト具現化するために、性能と機能がタイトに繋がっているものを提案し続けています。それがレーストラックでも、ツーリングの途上でも、KTMに乗ればアドレナリンが出る物であること。

ピュア、パフォーマンス、アドベンチャー、エクストリームというREADY TO RACEを構成する要素にしても、どのモデルに共通している必要があります。ハイスタンダードなパーツを使い、造られるKTMに込められた「可能性」を夢として楽しめるようにです。例えば990ADVENTUREのオーナー誰もがアフリカに冒険ツーリングに行くわけではありません。エンデューロモデルを造っている技術者もプロライダーのように走れるわけではないですが、ピュア、パフォーマンス、アドベンチャー、エクストリームという4つに拘り続けるのです。この4つを感じられないもの。それがKTMの名の下、世に出ることはありません。これを踏まえた上でKTM Freerideについてお話しましょう。

エレクトロリック・バイクという構想そのものは20年前、デザインスクールの教室でも当たり前の用に語られていました。モーターやバッテリーを既存のガソリンエンジンのようなレイアウトにせず、隠してしまおう、今思えばファンタジックなものでした。でも、現実的にKTM Freerideはモーターもバッテリーも隠していません。むしろ冷却のために露出したい。リアルワールドではバッテリーはアルミケースに、モーターにはフィンを、ラジエターだって必要になるかもしれませんよ(笑)

つまり、見せる事とこのパッケージは必然だったのです(続く)。